ローズクォーツ兄弟と長女4 ページ30
「〜〜〜…、〜〜〜…!」
「〜〜…、〜〜〜」
「…」
レヴィはある部屋のドアノブを握ろうとし、部屋から人の声が聞こえてその手を止めた。
楽しそうな、男女の声であった。片方は兄の声で、もう片方は、約一週間前に聞いた声。
少し立ち尽くしてから、レヴィはその部屋を後にしようと、ドアに背を向けた。
別に今日じゃなくてもいい。なんなら会わなくなって、こんな出来損ないの弟に会ったって
段々と心が沈んでいくのが、自分でも分かった。とても重たくて、苦しい。
いや、前にも改め直したではないか。兄貴はきっとオレのことを…
レヴィは一度背を向けたドアに向かい直し、またドアノブを握ろうとした。
その時、一つの声がレヴィの耳に届いた。
「レヴィ!そこにいるんだろ!」
「!」
思わぬ言葉に、レヴィは固まった。他の人の声はしない。兄だけの声が聞こえた。
何故オレがここにいることを知っているのかと一瞬疑問に思ったが、レヴィは考えるのを後回しにして、深呼吸をしてからドアを開けた。
「…レヴィ、来てくれたんだな
久しぶり」
「……おぅ」
レヴィは兄に返事をしながら部屋の中を見渡した。女…、Aの姿は無かった。しかし、先程まで確実に居たはずだ。証拠に兄のベッドの近くに一脚の椅子が置かれている。
「まさか直接来てくれるとは思わなかったよ、父さんにも会いたくなかっただろうに…」
久しく見なかった兄の姿は、以前見たときよりも元気そうであった。体調がかなり良くなったというのは、本当らしい。
レヴィは兄の言葉を聞いて、玄関前でのことを思い出した。
クソ親父に久しぶりに会い、神覚者選定最終試験のことを口に出された。あそこまでしても、お前は一番になれないのかと。
流石に今まともに動ける息子がレヴィのみであるからなのか、ぶったりなどはしては来なかった。しかし不快であることには変わりない。クソ親父の言葉が事実であることも。
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作者名:そらいろ | 作成日時:2024年3月13日 19時