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ローズクォーツ兄弟と長女 ページ27

アドラ寮2年生時

「なんの…、用だ」



寮部屋のドアから出てきたレヴィは、目の前に立つ少女を見て少し顔を顰めた。
最初は敬語を使おうと考えたのだが、一瞬で辞めようと考え直し、いつもの間延びした語尾がなくなった。
三魔対争神覚者選定最終試験にて、自身の打算性は知られているはずだ。



何故こいつがここに。以前も来たが、あのときは確かヴァルキスに入学した将来有望な学生の調査の為に来たはずである。
ヴァルキスのトップはドミナだが、彼は他人に興味関心がほとんど無い為、人脈が広いレヴィに声をかけてきたのだ。



「貴方のお兄さんからお手紙を預かってるんです」



「兄貴からぁ?」



訝しげな表情のまま思考を巡らすレヴィに、少女は気にすることなくそう言って手紙を寄越してきた。
思いもよらぬ単語が聞こえて、レヴィは反射的に聞き返してしまう。



「はい、ロヴィさん…ですよね?お兄さん」



「……」



兄の名を聞いて、本当に彼から手紙を預かっていることを知り、レヴィは黙って手紙を受け取った。
そもそも何故こいつは兄から手紙を預かっているのか。そう疑問に思いつつ封を見てみると、そこには綺麗に押された封蝋があった。



相変わらず、なんでも器用にできる優秀な兄である。



「…なんでフクロウじゃねぇんだよ」

「神覚者の私が直接渡せば、受け取るしかないだろうとロヴィさんが」

「………いつ知り合った」

「前に貴方に用があった時、魔力感知をミスってロヴィさんのところに飛んでしまって」

「はぁ?」




気になったことを質問してみると、少女は素直に答えていったのだが、どうもその一つがレヴィの気に障ったようであった。
魔力感知をミスるってなんだ、今のオレと兄貴の魔力量は全く違うはずだろ。



「まともにお詫びできなかったので、後日謝罪をしに行ったら仲良くなりました」



先程まで不安そうだった少女の顔が、兄の話を訊いた瞬間明るく染まり、レヴィはなんとなく機嫌を悪くするのだった。

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作者名:そらいろ | 作成日時:2024年3月13日 19時

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