マッシュと長女 ページ23
7歳時
「マッシュ、今から私がマッシュに授業を行います」
私はそう言いながら、図書館から借りてきた本やノートを机に置いた。そんな私を見て、マッシュははてなの文字を顔に浮かべている。
マッシュは私と同じ7歳であり、日本の基準で考えれば小学一年生だ。
しかし、アザが無いので教育機関できちんとした教育を受けることが難しい。そもそも学費もあれだし…
ということで、じいじに頼まれて代わりに私が授業を行うのである。じいじは私達のためにやることが他にあるので。
「授業って？」
「生きていくうえで、最低限知っていると良いことを教えてくれるものだよ」
「筋肉だけで十分だと思う」
ファ〜ンと音が鳴っているようなマッシュの様子にちょっと引いた。物事全てを筋肉で解決しようとしないでください。
「筋肉だけじゃ無理なものもあるのよこの世の中は」
「なるほど」
少しため息をつくように言うと、素直なマッシュはすぐに納得した。椅子に座る私の方へ自分の椅子を持ってきて、隣に座り直す。
腕当たってるよ…？ちょっと近い気もするけど、指摘するのもめんどいし気にしないことにする。
「じゃあまずは、文字を書いてみよう！」
「うん」
この場合は図書館から借りたものは必要無いなと思って、本を少し机の端によせ、開いたノートとペンをマッシュに渡した。
あれ、ペンの持ち方違うや。
「マッシュ、ペンの持ち方教えてなかったや、
ちょっといい？………こう持つんだよ」
マッシュから一度ペンを受け取り、私はペンを持って見せた。マッシュはじっと私がペンを持つ様子を観察するが、しばらく経って首を傾げてしまった。
「ごめん、よくわからない」
「えーとね、まずここをね…」
私はマッシュに一度ペンを持たせてから、持ち方を説明しつつマッシュの指をそっと移動させて、正しい持ち方にしてやった。
……すげーめっちゃガン見してる。
「おお…こんな感じですか」
「その持ち方で字を書いてね」
「うん」
やっとこさ正しいペンの持ち方を教え終え、私は再度マッシュに文字を教えていった。
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作者名：そらいろ | 作成日時：2024年3月13日 19時
