【MASHLE】無邪気な深淵の６番目長女３ (ページ16)

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無邪気な深淵と長女４ページ16

「無益な殺生を私は好まんと、以前言ったばかりだろう」

静かにそう言い放つドゥウムを、ファーミンは無言で見つめる。
そんな二人を気にも留めず、デリザスタは駆け足でAの元へ向かっていった。

「…いいな、その剣くれよ」

「貴様が私に勝てればくれてやる」

ドゥウムの返答を聞き機嫌を悪くしたファーミンはすぐに攻撃を仕掛けたが、一瞬で返り討ちに合った。勝てないことを察して、"今は"剣を貰うのを諦め、ファーミンはそのままフラフラと廊下を歩いていった。

「A゛！Aだいじょぶか！！」

一人騒ぐデリザスタの方にドゥウムは顔を向け、歩み寄る。ファーミンに切られたらしい右足の付け根から流れた大量の血は、先程から静かになったAの容態を表していた。

「このままだと失血死するな」

「はぁ゛！？ふざけんなよ゛！！」

いつも享楽的な態度を見せるデリザスタの必死な声音に、ドゥウムは静かに驚いた。
この男にも必死になれるものがあるのかと感心し、自身を本気にさせられるポテンシャルがあるAを失うのは惜しいと考える。

「お父様の魔法で治していただこう、早く行くぞ」

ドゥウムはそう言うと、デリザスタの手からAを抱き上げた。
猛スピードで走るドゥウムを息切れしつつも追いかけ、デリザスタはお父様の元へ向かった。