【MASHLE】無邪気な深淵の６番目長女３ (ページ15)

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無邪気な深淵と長女３ページ15

「…相変わらず鉾の腕がいいなあ
デリザスタ」

「兄者こそほんと趣味悪いなぁ゛…っ！」

Aの叫び声を聞いて駆けつけてきたデリザスタの呼吸は荒かった。
走ってきたからなのか、怒りを強引に鎮めているからなのか、もしくはその両方か。

「僕とやる気か？」

「…」

体が再生していく中、無詠唱で出現した鉾が自身に向いているのを見て、ファーミンは挑発気味に訊いた。

しかし、デリザスタはそんなつもりで鉾を出現させたのではない。Aから離れろという意志を込めて出現させたのである。
そもそもデリザスタが兄であるファーミンに勝てないのは明確であった。

端から見ればそこまで慌ててないように見えるデリザスタも、内心一刻も早くAを助けたいと思っていた。

まあそんなことファーミンは知ったこっちゃないので、彼がAから離れることは無かったが。

「ハハハッ、"必死"だな」

「…ッ」

ファーミンの発言に、デリザスタは青筋を立てる。普段から必死な者を煽り馬鹿にするデリザスタ自身が必死になっているこの状況が、ファーミンにとって実に滑稽なものであった。

「面白い…もっと必死にさせてやる

トランスペマンツ」

「！」

ファーミンが魔法の詠唱をすると、途端にファーミンの姿形が消えていった。いや、見えなくなったと言ったほうが良い。
デリザスタの頬に嫌な汗が流れ、息苦しさをが辺りを包む。

Aの泣き声のみがしばらく響き、ある瞬間、ファーミンは姿を現しデリザスタの首を捉え剣を振りかざそうとした。

「やめろ、貴様ら」

「「！」」

その時、悪魔の五つ子長男、ドゥウムがファーミンの腕を切り落とした。