君の背中２(7.4start HBD!Dear TM)

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せっかくの週末なのに、「今日ちょっと風邪っぽい」とか言ってシゲ飲まなかったから、帰りは送ってくれた。


いつものように後部座席に乗ろうとしたら「お前は社長か！金とるぞコラ」って巻舌で言われたので、おとなしく助手席。



車高の高いSUVがなめらかに発進する。
田舎の夜は暗い。
どっぷり夜に浸されたみたいな街並み。
各家庭の玄関のライトと電柱の明かりがチラチラ流れていく。



「……今日は降りないの？」


シゲの遠慮がちな声が聞こえて、運転席を見る。


「え？」
「いや、こないだ、歩きたいとか言って途中で降りたじゃんお前」
「ああ、」



なんの用事もなく、増田さんちに行っちゃって、帰り道おててつないで帰った時の話？とか思って、こっそり頬を熱くする。



増田さんは、今どっちにいるのかなぁ。
ちゃんとごはん食べてるかな。
もう3週間くらい会えてない。
記録と立案に追われて、寝てないんじゃないのかなぁ。

大変だなぁって思うけど、でもきっと、増田さんは「たのしい！」って言うんだろうな。
あの優しい笑顔で。



シゲは家の前まで送ってくれた。
一応テールランプが見えなくなるまで見送って、家に入る。


アイス食べたかったなぁ。
買ってくればよかった。
パパとママはめったに食べないから、私が買ってこない限り冷凍庫にはないんだよなぁ。



氷をガリガリするつもりで冷凍庫を開けて、ついでに、ないのわかってるけど大きな扉を開いたら、アイスのファミリーパックがいくつか並んでた。
あれ！珍しい！



パパはもう寝てたから、ママに開けていいか聞いたら、「増田さんにお礼言った？」って言われる。


ん？
増田さん？

「増田さん……？」
「あれ？お名前間違えてる？Aが倒れた時に病院付き添ってくれた子、その時と髪の毛の色が違ったけど」
「え！増田さん！間違えてない！増田さんがなに？」
「夕方うちに来たよ。Aによろしくって、アイス置いてってくれたの。お礼言ってね、おやすみ〜」




アイスのファミリーパックを冷凍庫に戻して、急いで自分の部屋！
震える指で増田さんのお名前をタップした。

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