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由紀子のこと、やっぱり誤解してるんでしょ?
1人で思い詰めて、身を引こうとしたんでしょ?

結婚式の招待状が届いた日、すっごい悲しい顔して初めて俺を抱きしめてくれた華奢な肩を思い出す。
始まりがあんなふうだったから?

思い出せば思い出すほど、やっぱりAちゃんの顔が見たくて、つい情けない声が出る。


「開けてよ……Aちゃん……」



その時、かちゃん、って鍵の音。
急いでドアを開けて、玄関にいたAちゃんをとにかく抱きしめる。
あったかい。
Aちゃんの、甘いにおい。
鍵を閉める。

下を向いて玄関を見たら、Aちゃんのヒールの靴が一足だけ。
いないじゃん。お客さん。
……嘘じゃん。


「彼氏……いたの?」
「……」
「俺以外に?」
「……」
「彼氏、裸足で来たのね。靴ないもん」
「……ごめんなさ……」


小さな可愛い声が聞こえて、しかも涙声だったから、さらにきつく抱きしめる。


「……なんで帰ったの」
「……」
「なんで連絡とれなくなってんの、なんで荷物なくなってんの、なんでいなくなったの」
「……」

切羽詰まった声が出ちゃって俺かっこ悪い。
細い肩が震えてる。


「……ねぇ……なんでいなくなったの……?」
「……ごめんなさい……」
「ごめんじゃわかんない」
「……」
「なんで?俺何かした?」
「……もう、いらないと、思って」
「は?」
「私はもう、必要ないと思って」


Aちゃんがそんなことを震える声で言うから、本当に苦しくなる。
何言ってるの?
なんでそんなこと言うの?


「……なんで?一緒にいられて幸せだったの俺だけ?必要ないって何?」
「……」
「伝わってなかった?あんなに一緒にいて。俺Aちゃんのことすごい大事に思ってたのに、いらないって…なんだよ……」
「……」
「Aちゃんがいれば俺もう他のことはいらないくらいだったのに」
「……そんな」
「ホントだよ、やばいよね?」

余裕のない自分にちょっと笑う。


「俺さ、趣味も仕事も仲間も家族も、いっぱい大事なものあるから、女の子の優先順位がこんな上位に来たことなかったんだけど。大事なものがいっぱいあるっていうのは言い訳だったんだなって、思った。もうAちゃんがいたら何もいらないんだもん。満たされて。幸せで」
「……」

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作品ジャンル:恋愛
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あやめ - 今まで色々読んだ中で1番好きなお話でした!続編が読みたいです。 (2019年5月21日 12時) (レス) id: 9e6ffd26f9 (このIDを非表示/違反報告)
ミウ - やばい…ハルヒさん同じくぼろ泣きしてました…。 もし私がTV、映画関係者だったら ドラマか映画即作ってます…(泣) うわあああああ (2017年3月25日 15時) (レス) id: b65112862c (このIDを非表示/違反報告)
ハルヒ(プロフ) - ボロ泣きしてしまいました………( ; ; )どうしよう、こんなに泣いたの久しぶりです(笑)素敵な作品をありがとうございます!これからも応援しています♪ (2017年1月21日 0時) (レス) id: 313afc49c5 (このIDを非表示/違反報告)
音奈 きらり(プロフ) - 久しぶりに読み返しました。ほっこり幸せ〜♪ 2時半だ!寝なきゃ。おやすみなさい(笑) (2017年1月18日 2時) (レス) id: 3f7a93ce59 (このIDを非表示/違反報告)
音奈 きらり(プロフ) - 久しぶりに読み返しました。ほっこり幸せ〜♪ 2時半だ!寝なきゃ。おやすみなさい(笑) (2017年1月18日 2時) (レス) id: 3f7a93ce59 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:◯じぇにー◯ | 作成日時:2016年10月11日 21時

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