傘になりたい（11.11HBD！DearYT）

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あ、終電、って思って、カバンをごそごそして、携帯を取り出す。
時間を確認する。
待ち受けは祐くんの愛犬、スカルくん。
こうしておくと、彼氏と一緒に飼ってる犬みたいでしょ。うふ。


「あーー！！トイプーだ！！ね、ね、それ飼ってるワンちゃん？？」

急に携帯を覗き込まれる。
金色の髪。インカントチャームの香り。
顔をあげると、ギリシャ彫刻が目の前で息が止まる。


綺麗な目をキラキラさせて、祐くんが話しかけてくれる。私に？この私に話しかけてる？


「俺もティーカップのトイプー飼ってるの！何歳なの？うちの子に似てる！」
「……いえ、あの、飼いたいな、と思ってて…この子はあの、お友達のおうちの…」
「あ！そーなの？いいよトイプー！！頭良いからいろいろ覚えるし！」
「あ…そうなんですか…」


スカルくんを待ち受けにしてると気づかれる前に携帯をささっとしまう。
好きすぎてあなたと同じ犬飼おうとしてます私。
妄想世界では一緒に飼ってます。


というか現実なのかこれは。
この距離で祐くんと話ができるなんて。
泣きそうだけどがまん。
変な奴だってバレたくない！



すぐ隣にキラキラの茶色い瞳。
キラキラのピアスが揺れてる。

「ね、ね、なにちゃん？誰の彼女？？」
「いや、違います、友達っていうか、知り合いで。塚山くんの」
「あ、そうなの？ねね、みんなでLINE交換しよーよ！」

祐くんがそう大きな声で言って、私の周りにいた塚山くんのチームの男子数人とみんなで連絡先を交換する。
どさくさに紛れて私も…！！



こうして手越祐也のLINEの連絡先を手に入れた私、本格的に命日近し。
ああ…いい人生だった…！！

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