◎ �� ページ8
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その日の夜、慎太郎からの連絡はいくら待っても来なかった。
代わりに届いた淡白なメッセージ。
sho大丈夫?
大丈夫なわけないじゃん。
誰のせいで……なんて、考えてる時点で既に私の責任。
カーテン越しに薄っすら見える右隣の紫耀の部屋。
既読をしたまま数分が経った頃、着信画面に変わった。
" shoから着信がありました "
間違い電話だろうか。
２コールで切れた。
なんだ……なんて落胆気味に画面を閉じれば
今度は直接、携帯に電話がかかってきた。
登録された４文字をこんなタイミングで見ることになるなんて。
〈 ……はい 〉
〈 あ、俺 〉
〈 うん 〉
〈 LINEごめん 〉
〈 え？ 〉
〈 お前がLINE嫌いなの忘れてた 〉
〈 ……あぁ、 〉
メールより電話派。
LINEより電話派。
何かあれば電話派。
月日が経っても覚えててくれたのは嬉しかった。
〈 慎太郎とうまくいってねえの？ 〉
〈 ……そんなことないよ 〉
〈 ……ふぅん、 〉
〈 紫耀は？彼女できたでしょ 〉
〈 全然だよ、ダンスで精一杯 〉
〈 モテそうなのに 〉
〈 まあまあモテた 〉
〈 だろうね 〉
〈 ………なあ、幸せ？ 〉
あの日のことを忘れる為に、
幸せになる為に、
どれだけの想いが交差したと思う？
やっと解放されたと思ったのに、
うまくいってるって胸張って言えると思ったのに。
〈 ……幸せだよ 〉
〈 ……そっか、 〉
どんな表情で、どんな想いで、私に伝えたのだろうか。
陽気なその声も、例え作り笑いでも、
届いたメッセージに嘘はないと信じたい。
〈 大丈夫なら良かった 〉
〈 ………… 〉
" 幸せなら良かった "
そう言って欲しかった。
期待していた言葉ではなかったことに、
分かりやすく動揺した。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年2月7日 7時
