・ 《 sm side 》 ページ38
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俺、まじで最低じゃん。クズじゃん。人として終わってんじゃん。
Aの震える声が耳に届いた時には頭がかち割れそうになるくらい痛かった。
Aが一番辛い時にそばにいるって約束したのに。
……ただの俺のワガママ。ただの嫉妬。
大事なAの家族の一大事を俺は、……俺……まじで何やってんだよ。
起きてAがいない時点で、また俺は紫耀を悪者扱いして、俺だけ被害者ぶって、紫耀からの着信履歴を全て削除して、Aに何度も何度も電話して、自己嫌悪に陥って、……結局俺は何がしたかったんだろう。
〈 意識はあって、眠ってる 〉
〈 A、……いまひとり？ 〉
〈 ……紫耀が、いてくれて、 〉
〈 そっか、 〉
〈 ごめんね、 〉
Aが謝る意味が分からなかった。口癖のように俺に謝罪の言葉を向けるから、俺が悪い奴って認めざるを得ない。そうだよ、俺が全部悪いんだよ。何事も自分を責めるAに何も返せなくて、俺はもう君を守る資格なんてないんじゃないかって、そう思った。
〈 慎太郎？ 〉
〈 ……ん、あぁ、今日は泊まるよね？ 〉
〈 うん、そうする 〉
〈 分かった、朝そっち行くね 〉
〈 ありがとう 〉
紫耀がいれば安心だ。なんて思える筈がないけど、だけど、Aにとってはそれが一番安心する方法なら俺はもう追いかけることをやめるよ。この数年間、追いかけて追いかけて追いかけて、追いついて、また追いかけて、繰り返しのように君は遥か遠くに見える。
一緒に住み始めた記念すべきこの日が最低最悪な日になっても、そうはならなかったとしても、俺はきっとずっと目の前のAを掴めない。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年2月7日 7時
