外恋慕【 sh × sm 】 (ページ11)

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◎ ⅳ 《 sh side 》ページ11

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カーテン越しにAが見えた。
目で追う癖は何年経っても変わらないなと、つくづく思う。

カーテンを開けて窓に手を掛ける。
ポニーテールの茶髪が揺れた。
視界に入る全てが嘘であって欲しくて、
受け止めなくちゃいけない現実が重く伸し掛かる。

首元に分かりやすく赤い印。
こんな時間に帰宅。
" 朝帰り "
言わなくたって分かるよ、そんくらい。

ＬＡで出逢った女はみんな俺の体と顔目当て。
日本語が若干通じるアメリカ人と、
俺と同じく留学で来てる日本人と、
ダンススクールで知り合った年下と。
この３年で、俺は何人の女と関係を持っただろうか。

" モテそうなのに "

あながち嘘じゃねえし、
この俺でも分かる " handsome " というワードは何度も聞いた。
向こうの女はいきなりあそこを触ってくるからまじでビビるし、
それが合図のように胸を揉めばキスをせがんできて
そのまま激しいセックスが始まんの。
すげーよな、海外って。
俺の想像を遥かに超えてた。
こんなの、俺じゃねえよって誰かに言いたくて、
何しにここまで来たんだ、って誰かに言って欲しくて、
異国の地に染まり行く自分から逃げた。

だからさ、久しぶりにAを見た瞬間思ったんだ。
" 帰ってきたー " って。" ただいま " って。

きっと待っててくれてるって、浅はかな考えだった。
有名になって、稼いで、「Aと生きていきたい」って
胸を張って言えるような男になるって、
大それた夢を見てたあの頃。

何度もはぐらかしては傷つけて、
不器用だなんて、甘え過ぎた。

" 会いたくなかった " って俯く顔も、
誰かの為に綺麗になる姿も、見たくなかった。

「俺が留学しなかったら、……お前の隣は俺だった？」

「…………え、」

……願わくば、気づかなきゃよかった。

受け止め切れない現実が、
俺を奈落の底へと突き落とすんだよ。

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