外恋慕【 sh × sm 】 (ページ1)

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「ねえ！帰ってくるって、紫耀ちゃん！」
「……ぇ、」

そう告げられた瞬間、息が詰まりそうになった。
思わず零れた声は喉を掠めた。
喉につっかえる何かが一瞬にして蘇らせる記憶。
嬉しそうに話すママの声がフェードアウトした。

「……ごちそうさま」
「もういいの？」
「うん」

食器を片付けて、逃げるように階段を駆け上がった。
ポケットの中、震える画面を見れば慎太郎から。

〈あ、もしもし？〉
〈うん〉
〈終わった〉
〈お疲れ〉
〈ねえねえ会いたい。……会いたすぎるんだけど〉
〈来る？〉
〈うん〉

一途な想いはいつから逸れたのか。
脳裏を巡るあの一言が
動揺を隠せないまま、不自然に目が泳いだ。

慎太郎は知ってるのかな。
……紫耀が帰ってくるんだって。

＿＿＿＿

小２でダンスを始めた紫耀は、
踊り狂うようにダンスレッスンに明け暮れて、
高校に上がった時にはもう、様々なプロダクションから
声がかかるほど、有名人になってた。
そんな私は陰から応援することしか出来なくて。

隣の家同士、家族ぐるみで仲良くて、
その頃、近くに引っ越してきた１つ下の慎太郎。
３人でよく遊んでた。
" 幼馴染 " という肩書きを背負いながら必死に忘れようとした。

" 好き " という気持ちを。

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