月光の甘いひと時 【狂い月】

康平、やめて… ページ35

・



　
ドクン…ドクン…




　
刺さったガラスを掴み、ゆっくりと抜いていく。



貴「 ぁっ…、」


　
ギュッと手に力を入れ、赤く染まったガラスは
無事に皮膚の外へと抜け出した。



　
康平「 大丈夫…？」



私「 うん…ごめん、ありがとう」




肩の力が抜け、椅子から崩れ落ちる。



　
貴「 はぁぁ…良かったぁ」


　
康平「 ほんと…、無事取り出せてよかった…」


　
緊張してたのか、同時にはぁぁーっとため息をつく。




康平「 はぁ…心配させないで、」



貴「 す、すみません…。でも、康平が心配してくれたから無事に取り出せたし！ありがとう！」


　
精一杯の笑顔で応える。


康平は、そっと私から目を逸らし

肩に顔を埋めた。


　
貴「 えっ…！」


　
甘えた猫の様に、ぐりぐりと顔を押し付けてくる。



貴「 こ、康平…何してんの…っ」



もたれかかった肩から、首筋へと吐息がかかる。

くすぐったい感触と、耳元にかかる息で
熱くなった。

　
康平「 …やめてよ、そういうの」



　
貴「 え、…」



目線を下にやると、康平の赤くなった耳が見えた。


貴「 …なんで赤くなるの…」


　
康平「 ごめん…。もうちょっとだけ待って」



貴「 っ…くすぐったいから、離れて…」


吐息が当たる
肩の上で顔を埋め、一向にどいてくれる気配がない


　
グイッ



　
とりあえず頭を押してみる…



康平「 …。」


　
効果なし。



　
ペシペシッ


　
肩を叩くが、効果なし…


　

こちょこちょ…こちょこちょ



　
康平「…。」




　
うん、まぁ分かってたけど。



こちょこちょして、康平がギャハハハ！！とか笑ったら普通に引くもん


てか、クールキャラって大体笑うとイメージ崩れるよね←((偏見




まぁ、どうでもいいけど




　貴「 …あのー、康平さん？どいてくださいよいい加減に。」



康平「 …。」


　
貴「 もしもーし…聞こえてますか？」



康平「…」



貴「 はやく満のとこ行かなきゃ行けないから…先行くよっ」


　
そう言い、無理やり頭をどかそうとした時


　
　

ドンっ



強い力に引っ張られ、ソファーに投げ出される。








貴「 こ、康平…？」





　
康平「 ……神崎のこと、本当に…分かってるのか？」


　
　
康平の目には、満月が写っていた。

　

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