月光の甘いひと時 【狂い月】

進は強がりなだけ ページ12

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貴「 進ー！」




進「 …なんだよ。」




私が話しかけた途端、若干嫌そうな顔をしている。




貴「 そんな嫌そうな顔しないでよ、気づつくじゃないか！」




進「 うるせぇな…勝手に気づ付いとけよ。」




貴「 なっ、…そんな言い方しなくてもいいじゃん！」




進の態度にカッとなる。



君には数ミリの優しさもないのかい？

女子にそんな態度ばっかりとってるから、彼女も出来ないんだよ。このデコハゲっ！(ﾎﾞｿｯ)






進「 んで、何の用だよ。」



貴「 あ、えっと…進は幽霊屋敷に来たことあるの？」



進「 はぁ？ 何だよ 急に 」



貴「 いや、反応が初めてって感じじゃなかったから。」



進「 …………昔、この辺りなら、一度だけ来たことはある」



貴「 本当？ その時この屋敷見たことあるの…？」




進「 ……さぁ。」




進の顔が険しくなる。


このバカな私でも、これ以上踏み込んじゃいけないことはすぐ分かった。




貴「 えーっと、満も初めて来たって言ってたよ！」




進「 …ふーん。」




貴「 二人って、家も近所なんだよね？ 小さい頃一緒に遊んだりとか……」




進「 どうでもいいだろ！」





そう強く言い放った。





貴「 …な、なんで怒るの……？」




進「 ………悪ぃ。別に怒ってはねぇよ」





どこか寂しそうな顔をしながら、進は私の傍を離れようとした…





すると








『 にゃっ！』






突然小さい何かが、飛び出してきた。






貴「 ひゃっ」




進「 うをぉっ！」





ドンッと後ろへ倒れる進。


その音と同時に、小さい何かは寄り添うように進へ飛び乗った。





貴「 し、進！大丈夫！？」




進「 い、てぇ…なんなんだよ。」




『 ニャ〜』




目線を下にやると、かわいい子猫が首を傾げている。



どうやら進は、この子猫にビックリしたらしい。





貴「 わぁ！可愛い！！」




進「 猫かよ…びっくりさせんな。」





よしよしと頭をなで、かわいい子猫はまた草むらの中へ逃げて行ってしまった。




進「 ……。」




貴「 あんなに驚かなくてもいいのに」




クスッと笑う




進「 うるせぇな…転んだだけだよ。」




恥ずかしそうに頭をかいている姿を見て、少しほっこりした気持ちになる。





進も、なんだかんだ優しい人なんだな。っと心の底から思った。

呪いの屋敷と呼ばれていた…？→←脈アリ？

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