番外編:家庭科室作戦12 ページ29
佐「デザートはこちらです！！」
ようやく命が戻った佐久間くんが、冷蔵庫から取り出したのは、ホールケーキ。しかも。
宮「佐久間の手作りだよ？」
「え！手作り？」
佐「まあ、舘さんに教えてもらいながらだけど…」
「すごい！綺麗だよ…」
純粋なショートケーキ。真っ白のクリームに、真っ赤なイチゴ。チョコのプレートには、会長おかえり！の文字。
その文字はすんごい汚いから、おそらく佐久間くんが書いてくれたんだろう。
「嬉しい！ありがとう！」
思わず佐久間くんに抱きつく。
佐「おわっ！あ、う、うん。まあ、あ、味も多分大丈夫…だから」
深「ひゅ〜」
阿「佐久間のにやにやが止まんないな」
みんなが囃し立てるけど、私は目の前の佐久間くんに、ただただ湧き上がる感謝の気持ちを伝えたかった。
「すごいね。手作りなんて。大変だった？」
佐「いや、んー、まあ、会長のためならね、ちょちょいって感じ？」
宮「3回やり直してるよ」
佐「ちょっと！！内緒にしてって言ったじゃん！！」
それを聞くと、より愛おしさが増す。
逞しい胴に抱きつく。
「佐久間くん。ほんとにありがとう！」
佐「あーー！うん！ぜーんぜん大丈夫！」
視線をおろおろさせる佐久間くんの顔を見上げながら、しばらく彼に抱きついていた。
照「ねえ〜早く食べたい〜」
佐「照に作ったんじゃねーから！会長のためだかんな！」
言いつつ透明のプラスチックフォークをみんなに配る佐久間くん。
佐「もー切らなくていっか！まんまいっちゃおうぜ」
お行儀はちょっと悪いけど、みんなでひとつのケーキをシェアする。
佐「はい、会長あーん」
いつもは恥ずかしいけど、今日は素直に答えることにした。
「あーん」
深「うを！会長が素直だ！」
「おいしいね！めっちゃ上手だよ！」
お世辞でもなく、本当に美味しい。見た目だけでなく味も成功だ。
佐「まじ！よかったあ〜」
絶妙な甘さのクリームと、スポンジは最高に柔らかくて。イチゴもみずみずしくて甘美な風味。
気心知れた仲間と、大切な人の作ったケーキを食べつつ、ずっとくだらないことで笑いあうこの瞬間は、私の高校人生の最たる思い出になるだろう。
夕暮れが家庭科室に差し込み、もう少しで終わりとなる有限の時間を感じながら、寂しさを頭の片隅に追いやって。
もう少しだけ、おバカで愛すべきこの瞬間を味わっていたかった。
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はー(プロフ) - もゆさん» こちらこそありがとうございました！私としても最終的には書きたいなと思っていたので、楽しんでいただけてよかったです。 (2022年10月18日 23時) (
レス) id: 32b48b81ff (このIDを非表示/違反報告)
もゆ(プロフ) - リクエストに応えて頂きありがとうございました。最高でした！ヤンキー君のイメージそのもので、沢山キュンキュンさせてもらいました✨何回も読み返したくなる作品に出会えて幸せです(*^^*)新作楽しみにしています☆ (2022年10月16日 21時) (レス) id: 3bc63a7d97 (このIDを非表示/違反報告)
はー(プロフ) - ふみさん» コメントありがとうございます！繰り返し読んでいただいているということで大変光栄です！引き続きよろしくお願いします。 (2022年10月7日 14時) (レス) id: 32b48b81ff (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - お話の世界観が素敵で大好きです。ヤンキーくんのかわいい所と色気が溢れている所のギャップにドキドキして何度も読んでいます。お忙しいとは思いますが応援しています！ (2022年10月7日 0時) (レス) id: eafe2700f6 (このIDを非表示/違反報告)
はー(プロフ) - skylineさん» コメントわざわざありがとうございます！鋭意作成中です！ (2022年9月27日 18時) (レス) id: 32b48b81ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はー | 作成日時：2022年9月9日 18時
