微睡みの夕陽にて【短編集】 (ページ2)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:9,874 hit

朝の戯れ【続き】ページ2

_______.....誰が女の子なんです？

と、イソップ君は真顔で無表情で顔の表情をピクリともせずこちらを凝視する。

そうしてムギュっと片手で頬を挟まれる。こんなんじゃ喋れないじゃないか。

「ひ、ひひゃいいほっふふん！」

「貴女が悪いんですからね」

仕返しだ、と言わんばかりに彼はむぎゅっ、むぎゅっと頬を押したり話したりする。

「....うぅ、私の頬はそこまで柔和じゃないよ.....」

「そうですか」

つ、冷たい！そこはせめて.....ってイソップ君に何を求めているのだ私は。

「イソップ君ぎゅ～ってして～～！」
「辞めてください暑苦しい」
「あぁあ、露骨に嫌な顔しないでよ～！」

「いいから離れて下さい。貴女のせいで目が覚めました。」

イソップ君は疲労しきったような顔つきで弱々しく抵抗した。

あっ

よく見ると目元は隈が出来ており、黒くなってしまっている。....、そういえば彼が最近試合ばっかりしてるのを目にしていた

今日遅かったのは、それのせいなのかな。

ふっ、と鼻で笑うと何笑ってるんですか、なんて視線が送られる。

そんな彼を置いて、頭をなでなでしてあげるとイソップ君は阿呆らしくポカーンとした顔をした。

「イソップ君、お疲れ様。」

「～～っはぁ？.....い、きなりなんなんですか。」

戸惑うイソップ君を横にぎゅーっと抱き締めると段々馬鹿らしくなったのか渋々と言った感じで抵抗しなくなった。

「んーー、あったかいね」

「あつぐるし.......はぁ.....もう、なんでもないです。好きにしてどうぞ」

「うとうとしてきた....もーちょっとだけ.....」

「.....なんですか」

じーっ、と顔を凝視してからそれから無防備になった彼の唇に口を軽く重ねた。

「......はっ！？」

「ちょっと....だけしたくなっちゃった」

そう言うとイソップ君はわなわなと震えて片手で口を覆った。

「あ、あ、あなた....！こんなこと他の男にもやってるんですか！有り得ないです.....！」

「ちょっと落ち着いてって.....イソップ君だからいっかなって思っただけだよ」

「....僕だけ....ですか？.....なら約束して下さい」

「うんうん、やーくそーく。ほら、寝よっ」

「....仕方ないな」

朦朧とした意識のままゆっくりと瞼を閉じた瞬間、おでこにふにっ、とした感触とリップ音を聞こえてきた

「.....ん、イソップ君？」

「仕返しです」

そう言って、ぷいっと顔を晒すイソップ君を最後に私の意識は飛んでいった。