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「奇遇だな、Aちゃん?」


後ろでヒャハハと独特の笑い声が聞こえた。倉持、お前の命は明日ないと思え。今までとない御幸の低い声に身の危険を感じる。手を引っ張られて御幸が歩き出すから、祭り会場が遠ざかっていく。夜道がどこか不気味で怖いから御幸と繋ぐ手に力が篭る。少しビクビクしながら、御幸に問いかけた。


「なんで居るの」
「午後から部活が休みになったから皆で来たんだよ。誰かさんは俺のこと誘わないしなぁ」
「そっ、それは!」
「それは?」
「……御幸が休みだって教えてくれなかったし」
「知らなくても誘うくらい出来ただろ?」
「……ま、また断られると思ったからだよ!それに、そりゃぁ御幸が部活で遊ぶとかできないの知ってるけど、昼休みはスコアブックばっかり見てわたしのこと見てくれないし、メールだってすぐとは言わないけど返してくれた試しがないし……。部活が無い日もあったけど自主練習ばっかりだし。構うどころか話しかけてもくれないし。誕生日だってバレンタインだってわたしのことほったらかしにして何もしてくれないから正直、その、寂しかったこどさぁ。でも御幸が何も言ってくれないからもしかしたらわたしだけ好きかもしれないとか思ったら嫌で、なんかわたしも御幸のこと避けちゃって……。付き合ってから二年以上経つけど一回もちゅーとかしてないし御幸だってわたしに何も求めてこないから不満で仕方がないし、もしかしたらわたしに愛想尽かせて浮気してたりするのかなぁとか、そう思ったらなんか御幸誘おうにも誘えなくって、なんかその……あの……」
「つまり、泣き虫Aはかまってほしかったと」


神社の方へ連れられて、御幸が階段に座るからわたしも隣へ座った。
はい、と差し出された食べかけのかき氷。苺のシロップがかかっていて、食べると思わず顔が綻んだ。


「それはお詫び」
「お詫びが食べ掛けってどうなのよ」


そう言いながら食べ進めていく。
浴衣や人の熱気で熱くなった体に、冷たいかき氷は丁度良かった。









.









*:*:*
この後は関係が修復されたと思う。

レオナ・ウェスト *敵はめが兄さん→←*



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作者名:ゆずまっちゃ@ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hazuki12308/  
作成日時:2015年3月7日 7時

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