25話 ページ27
藤襲山の入り口には産屋敷殿のご子息とご息女が立っていた。ご息女の肩にはあの鴉が乗っている。
「御縁様、今宵は刀剣の皆様とお集まりくださってありがとうございます」
「お館様のご説明通り、先日の最終選別にて残ったこの山にいる鬼を全滅させることが今回の試験の合格条件にございます。日時制限も刀剣男士の数も制限はございません」
提灯を持った二人は再度簡潔に説明してくれた。
それにしても、この時間帯に童二人というのはいささか不用心ではないだろうか。
『……夜にお時間を頂きましてありがとうございます、早速山に入りますのでお二方は産屋敷殿のもとへお戻りください。さすがに護衛がいるとは思いますが、この時間に出歩くのは危険ですよ』
微笑みながらそう言うと、同じ顔立ちの二人はパチパチと目を瞬かせる。
……なにかおかしなことを言ってしまっただろうかと不安になったが、二人はお気遣いありがとうございます、と返してくれた。
「……主ってああいうところあるよね」
「ずるいですよねー!」
「うんうん、これが天然……ってやつかな?」
後ろで清光、鯰尾、髭切が何か言っているがよく聞こえない。何か言ったかと問えば、口を揃えて「いや何も?」と返された。
いや絶対何か言ってたよね。
「なにか緊急なことが起こりましたら、こちらの鎹鴉でご連絡下さい。この鴉は鬼を見つける際にも役に立つでしょう」
「ヒ、サ、シ、ブ、リィィィ!!!」
『よろしくお願いしますね。あと、先日は失礼な態度をとってしまって申し訳ありませんでした、仲良くしよう』
「イイヨォォォ!!ユルスゾォォォォ!!」
ご息女の肩から私の肩に移った鴉の嘴を指で撫でると擦り寄ってきた。案外可愛いじゃないか。
「ねえ……ちょっと清光、鴉がしゃべってるよ」
「大将も普通に受け入れてんぞ」
「かわいー!薬研、しゃべるならこんのすけもそうじゃない?」
「それもそうだな、乱」
「ありゃ?このやりとりどこか覚えがあるね」
またもや後ろで騒いでいるが、大方、この鴉のことなのだろう。
こんのすけを思い出せばしゃべる鴉なんて当たり前にいておかしくないんだよ、みんな。
「「それでは、行ってらっしゃいませ」」
ついに私たちは藤襲山に足を踏み入れた。
『さあ、始めよう』
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柊(プロフ) - 江戸城産くむっぷるさん» わああありがとうございます、絶賛心が折れかかっていたので言葉が染みました…!ぜんぜん鬼滅感なくて申し訳ないです、頑張りますね! (2020年1月19日 22時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - (''界''いらなかった…すみませんんんん) (2020年1月19日 17時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - 我こそは世界で最も心やさs(( ああああー!!とうらぶと鬼滅のクロスオーバーだああああ!凄く嬉しいです!更新頑張って下さい!!応援してます! (2020年1月19日 16時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» 続けて失礼します、ご指摘をくださるだけでなく応援の言葉をもくださってとても嬉しいです、歓喜の舞です!本当にありがとうございます、頭爆発させながら頑張りますね!!!!!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» えっえっえっまって審神者としてあるまじきな間違いしてんじゃん嘘だろ私審神者辞めようかな!!!全国全世界の審神者の皆様に心よりお詫び申し上げます!!!そしてご指摘本当にありがとうございます!!!細かくて全然いいんです!ありがたいですすみませんでした!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2020年1月13日 4時