10話 ページ11
鶴の一声とはまさにこのことだと思った。
「もう充分じゃないか、頂兵衛殿」
この言葉と共に、双方動きを止め、声がした方へと視線を移すと穏やかな微笑みを浮かべながらこちらを見る男性と女性が座敷の奥に座っているのが目に入った。
男性の方は顔の上半分が焼けただれたような痕があった。
『(……この人、目が………)』
見えていないのだ。と気づくと、静かな座敷に一人の笑い声が響いた。
「はっはっは!すまないな産屋敷殿!久方ぶりに優秀な部下と会えてあまりに嬉しくってつい、な」
「まったく…意地悪なのは変わらないね」
何が面白いのか2人して笑い合うものだから私は話しが読めずにポカンとしている。
というか部下ってなんだ。私は局長の部下ではないし、局長を上司だとも思ったことはない。
そんなことを考えながら状況整理に努めていると、産屋敷殿と呼ばれた男性にこちらにおいで、と手招きされたので刀を仕舞い、大人しく従う。
彼と向かい合う形で腰を下ろした。
「ふふ、驚かせてしまってごめんね。今、お茶と菓子を用意させよう」
『…いえ、お構いなく』
この人の声は妙に落ち着く。なんというか、とても温かくて、安心……?できるようなそんな気がする。
「どうだ産屋敷殿!うちの優秀な部下は!」
平門がどかっと御縁の隣に腰を下ろした。
『…あの、局長。私は局長の部下になった覚えはありませんし局長を上司だと思ったこともありません』
そう御縁が口にすると、わはははは!と声を上げて平門が笑い、そのまま御縁の頭を乱暴に撫でる。
『あっちょ、やめ……局長!っ…うざ』
「おう!口が悪いのも相変わらずだな!」
ガシガシガシ。
「ーーーっいい加減にしやがれください!」
無理やり局長の腕を引き剥がす。
それと同時にクスクス、と上品な笑い声が座敷に響いた。
「仲が良いね…家族みたいだ」
『…御前をお騒がせしまして申し訳ありません』
やり取りを見られた、聞かれたということに気づきカァッと顔に熱が集まる。
「ところで、"優秀"は否定しないんだね」
だが爆弾は続くのであった。
「こりゃ一本取られたな御縁!」
『〜〜〜〜っ!』
「輝哉様、御縁様のお顔が林檎のように真っ赤でいらっしゃいます」
「おやおや、見れないのが残念だね」
座敷に再び笑い声が響く。
どうやらここには意地の悪い方しかいらっしゃらないようで。
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柊(プロフ) - 江戸城産くむっぷるさん» わああありがとうございます、絶賛心が折れかかっていたので言葉が染みました…!ぜんぜん鬼滅感なくて申し訳ないです、頑張りますね! (2020年1月19日 22時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - (''界''いらなかった…すみませんんんん) (2020年1月19日 17時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - 我こそは世界で最も心やさs(( ああああー!!とうらぶと鬼滅のクロスオーバーだああああ!凄く嬉しいです!更新頑張って下さい!!応援してます! (2020年1月19日 16時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» 続けて失礼します、ご指摘をくださるだけでなく応援の言葉をもくださってとても嬉しいです、歓喜の舞です!本当にありがとうございます、頭爆発させながら頑張りますね!!!!!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» えっえっえっまって審神者としてあるまじきな間違いしてんじゃん嘘だろ私審神者辞めようかな!!!全国全世界の審神者の皆様に心よりお詫び申し上げます!!!そしてご指摘本当にありがとうございます!!!細かくて全然いいんです!ありがたいですすみませんでした!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2020年1月13日 4時