空想と葉桜【d！】【npl】 (ページ40)

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97.有害なる天使たち【shp、ci】ページ40

朝から赤絨毯の広がる廊下で、A先輩の後ろ姿を見つけた。だから今日はいい日になりそうだと思った。
見慣れた色合いの裾が揺れている。A先輩も確か非番だったと記憶している。それに自分も今日は非番だから訓練でもしようかな、くらいにしか考えていなかった。だからせっかくだし、A先輩をデートに誘ってみようか、と思った。
せんぱい、と声をかけようとして、開けかけた口を閉じる。
A先輩の隣には、先客がいた。見覚えのあるヘルメット。紫色のジャケット。ショッピだった。
後ろ姿だけで判断する。どうやら先輩とショッピは雑談をしているようだった。それが腹が立った俺は、邪魔しに行こうと声をかけようとした。そしてそれは未遂で終わった。
ショッピがA先輩にキスをした。
身長差があるからショッピがAを覗き込むような形でキスをしていた。
俺が聞いた話ではA先輩には恋人がいないとのことだったし、俺が見たものを信じるならばショッピとA先輩の間に漂っていたのは恋人のような甘い雰囲気ではなかった。
だから、いま、なぜ、ショッピとA先輩がキスをしたのか、わからなかった。
ふらり、とめまいがして倒れそうになる。立っているのもつらかった。息が少し荒い。
俺はその場から早足で離れた。
その日はせっかくの非番だったのに、俺は一日、自室のベッドで死ぬように眠った。

＊→←96.あるいは君のための楽園【3】