空想と葉桜【d！】【npl】 (ページ18)

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「髪切った？」
「まあね」
「ふうん。それ、変ちゃう？」
それは大きくなってからも全く変わらなかった。私は正直またか、と思いながら、彼を無視した。
鬱も私の無視を無視して、私の髪の毛に触れる。さらりと彼の指を通る髪の毛をまじまじと眺めながら、「うん。似合っとらん。もっと違う方がええと思う」としつこいほどまでにそう言った。
なんでだろうか。その時、彼の心の中を覗いてみたい、と突然、ずっと考え続けていた疑問が、心の中で浮上した。
多分幼少期からの疑問。それを明かしたいとはじめて思ったかもしれない。
「鬱はさ、私のこと嫌いなの？」
鬱は予想外だったのか、少しだけ目を見開いて、でもすぐに今まで見たことなかったような笑顔ーーその顔は、恍惚、と表現すればいいのだろうかーーを私に向ける。
「そんなわけないやん」
鬱の顔がまともに見られないくらいゾッとした。そしてその瞬間、私は鬱に対して、生まれて初めて嫌悪という感情を抱いてしまった。

ああ、こいつはずっと私のことを愛していたのかということに、私は今更気がついたのだ。

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