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「……でもね、それ以上に君を好きになってよかったって思ったんだ」
「……そうなの?」
「うん。こんなに幸せになれるなんて、想像すらしてなかった。どんなに『愛してる』を伝えても、僕の心は空っぽにならなくて、むしろ満たされていった」
「…………。」
「こんな幸せなことってないよね」
「うん……、すてきなお話」
「…………眠い?」
「ううん……、だいじょうぶ」
もちろん少し疲れていたのもあった。でも、それよりも、わたしを好きになれてよかったって言葉がぐるぐるとわたしの中を巡り続けている。それはわたしの心の一番柔らかいに触れていて、それが心地よかった。
好きな人に好きでいられて幸せだなんて言われて、喜ばない人間がいるだろうか。そんな幸せがじんわりとわたしを暖かい気持ちにした。
「眠そうな子にはキスしちゃお」
「んっ……」
戯れるようにわたしの唇を食む叶くんは嬉しそうに目を細めて、そこからほんとうにわたしのことが好きなんだなあってことが伝わった。それが嬉しくてわたしは叶くんを求め続けると、叶くんはそんなわたしも嬉しそうに受け止めてくれた。
やがて、わたしが息切れ寸前になるまでキスは続いて、彼はどうなのかな、と思い、彼を見る。少しだけ、息が止まった。
彼の瞳の奥が、ギラギラと燃えている。それはまるでわたしを食べてしまおうという意思を感じるような、そんな瞳がわたしを捉えて、わたしの体の奥はぞくりと疼いた。彼はそれを見抜いたように、くすりと笑った。恥ずかしさで顔が熱くなる。そんな頬の上を叶くんの冷たい手が滑る。
「ねえ……、もう一回」
「……うん、いいよ」
「やった」と彼は笑い、そしてもう一度キスをした。それは戯れとは程遠い、熱を感じるキスだった。
わたしはいまの幸せの浸りながら、彼の熱を感じる。願わくばこの幸せが続きますように、と密やかに願いながら、わたしはそっと目を閉じた。
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