「呼び出し」 ページ46
会社に着くまで…それこそオッパの話の後、部屋に戻って出掛ける支度を済ませて…廊下を歩く間も宿舎を出るその時も、特に何かを喋ることもなく静かに動く。
無意識に隣りにいるアサヒの手を握るとアサヒも握り返す。
その手は離さないように、離れないようにって力がこもり、互いに少し汗ばんだ。
会社につくと、お馴染みのレッスンスタジオで待つように言われてそこで待つ。
静かだ。誰も楽しそうに雑談をしたりはしない。
今から聞くであろうことへの覚悟を固める時間のようだ。
見ると皆がそれぞれを抱きしめたり手を繋いだり肩を抱いたり…
触れることでお互いを励ますようにしながらそこにいた。
私とアサヒだけじゃない、全員…不安なんだ。
永遠のように感じた待ち時間。
きっとせいぜい10〜15分程度だったろうけど…
アサヒが、床に座り膝を三角に折った私の後ろに座り、私を抱き込むようにして前に手を回す。
そのアサヒが後ろから私の肩に額を預けて軽く震えたその刹那…レッスン室の扉が開く。
一斉に立ち上がり挨拶をして頭を下げる。
tre「アニョハセヨ！！」
kj「ネー、アニョハセヨー いいよ、座って！」
担当の女性、キム ジウォンさんが入ってきて、そう言うのでみんなでまた座る。
それから固まって座る私達の前に立って言った。
kj「あれ？みんな元気ない？」
……のんきなセリフに若干苛ついてしまう。
そりゃあね…分かりそうなもんでしょう！なんて言えないけど心の中で悪態を付いてみたりして…。
kj「A、何か言いたいことありそうね(笑)」
A「あ…い、いえ！」
kj「ふふ…そう？
今日来てもらったのは、報告したいことがあって…」
ゴクリ…。
皆が固唾をのむのが聞こえるようだ。
kj「あなた達TREASUREの今後についてだけど…
会社内でも色々な意見があって…
状況的にも会社が上手く行ってない時期だったからね。
メンバー脱退もあったし……
単刀直入に言うね。」
あぁ…
このまま…流れる……のかな……
アサヒ…アサヒ…手を握って！
アサヒの手をもう一度しっかりと握り直すと、アサヒもそれに答えてぎゅっと握ってくれた。
kj「来年の春から夏までの間に……」
……契約……終了……？
kj「デビュー決定したよ！！」
tre「え…………」
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作者名：tumetume | 作成日時：2022年2月12日 22時
