第九話 ページ10
安室side
あの取引から1週間ほどが経ったある日の午前10時。
いつもの様にポアロで働いていると、ドアのベルが来客を告げた。
「いらっしゃいませー……あ」
「えへ、来ちゃった♡」
振り返るとそこに居たのはアドニスこと神谷A。
まぁ、この名前も本名かどうか定かでは無いが。
組織で何かあったか?と考えてみるが特に心当たりはない。
…では何のために…?
店には他の来客もいる。
内密の話をしに来た訳では無いのだろう。
怪しまれないように席に案内し、笑顔のまま彼女へと問いかける。
「今日はどうされましたか?」
「いやぁ、この前喫茶店で働いてるって聞いた時からずっと来たかったんだよ。あ、今のは完全プライベートっていうか息抜きに来ただけだから気にするでないぞ安室くん!」
「ご注文は激辛ラーメンですね、分かりました!」
「えっ待って今の聞いてた?てかなんで唐突に激辛ラーメン?売ってるの?!ここで激辛ラーメン売ってるの!?」
「お客様、店内では他のお客様のご迷惑となりますので私語は慎み下さい」
「喋るなと言っているのかい安室くん」
「そうです」
「ひどいな」
軽率に会話を振ったら思った以上に面白かった。うん。恐らく彼女がプライベートで来たというのも本当なのだろう、と信じたい。
「…茶番はこれぐらいにしましょう。貴方がプライベートで来たということは分かったので好きにしてください。…あ、くれぐれもこの間みたいな嘘は広めないで下さいね。それで、ご注文は?」
「この前の…ってあれか!私と安室くんが付き合」
「ご注文は??」
危うく大声で叫ばれそうになったので取り敢えず彼女の顔を手で抑え、喋らないように圧をかける。
ポアロに通う女性達にあんな嘘を聞かれたらたまったものではない。
「プハッギブギブ!!言わないから!!約束するから!!てか安室くん何故君は口じゃなくて顔を手で覆った?!死ねというのか?!」
「貴方、前科あるでしょう」
「ぎくっ」
「注文はハムサンドでよろしいですね、分かりました。少々お待ちくださいね」
彼女と話していると埒が明かないので、キリのいいところで話をぶち切りカウンターへと戻る。
…そこで待っていたのは梓さんの満面の笑み。
「安室さん!あの女の方とお知り合いなんですかっ?」
「え?…あぁいや、ちょっと探偵業で知り合った方なんです」
「そうなんですか、残念!彼女さんかと思ったのにー」
「え」
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こゆり(プロフ) - maoさん» ごめんなさい返してなかったことに今気づきました?!?!申し訳ない〜!!更新遅くなり本当に申し訳ありません、これからも頑張って更新させて頂きますのでよろしくお願いしますm(*_ _)m (2019年2月17日 21時) (レス) id: 0181189958 (このIDを非表示/違反報告)
mao(プロフ) - そんないつも小説で楽しませてもらっているんですから当たり前のことですよ。惚れるなんて照れちゃいます!今日の分読ませてもらいました!すごくドキドキでここあとの展開が楽しみです!更新ファイトです!! (2018年5月30日 16時) (レス) id: 5697599ead (このIDを非表示/違反報告)
こゆり(プロフ) - maoさん» 労いのコメントありがとうございます!暖かいお言葉に私が惚れそうです、どうすれば...!?今日は三話更新出来ましたので楽しんで頂けると幸いです。 (2018年5月30日 16時) (レス) id: e436296e4e (このIDを非表示/違反報告)
mao(プロフ) - お疲れ様です!相変わらず面白くてついつい目が離せないです!続きが気になりますが自分のペースで更新していいですからね。次回作も楽しみに待ってます! (2018年5月30日 8時) (レス) id: 5697599ead (このIDを非表示/違反報告)
こゆり(プロフ) - maoさん» コメントありがとうございます!私も凄いこの子のキャラクター好きで楽しく書かせて頂いてます!更新ゆっくりになってしまうかと思われますが気長にお待ちください…! (2018年5月27日 22時) (レス) id: e436296e4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こゆり | 作成日時:2018年5月9日 1時