【名探偵コナン】ハニトラはいかが

第二十三話 ページ24

時は流れ、裏取引当日。

まぁ期待していたようなミスも起きず、平凡におわる予定だった。のだが。

…いやなんかよく分かんないんだけど黒田さんおる。

現場である個室付きのキャバクラの近くに停めてある車の中に、いつの間にか黒田兵衛捜査官がいた。

…何やってんだあの人。暇なのか。

まぁ私の上司みたいなもんである。

というかパパだよね、パパ(※嘘)

めちゃくちゃ仲良いからもうこれはパパと呼んでも過言じゃないっていうか(過言)

この前一緒に飲みに行った。
…ゴチになったんだけども。

人の金で飲む酒はとても美味かった。

…そうじゃないそうじゃない。


｢…なんであの人がいるんだ…｣


最悪、と呟きながらも当日の『作戦』という名の潜入捜査を続ける。

当日の『作戦』は至って簡単。

ターゲットである人身売買業者に盗聴器を付け、現場を抑える。以上。

まぁその為に数人の潜入捜査官が今この店内にいる訳だが。

ターゲットは男の為1番近づきやすいのはやはり女である私だろう。

ちゃんとキャバ嬢なりきってるし。

…公安辛くなったら水商売という手も…？？

ダメだ思考回路が疲れで停止してる。
水商売はやめとこう。うん。

ともあれ、まずはターゲットへの接触が第一である。

酒が入ったグラスを持ち、ターゲットが立ち上がったタイミングで側に近づく。


｢…いや、それでは私は一旦別の部屋に移らせてもらうよ｣

｢えー、〇〇さんもう行っちゃうんですかー｣

｢私も残念だが、仕事があるのでね｣


後ろを向いた瞬間を狙い、わざとその場でコケる。


｢きゃ…っ？！｣

｢おっと、大丈夫かい？｣


ちゃんといい感じに相手に酒を零せた私は凄い。もう今日帰っていいかな。


｢も、申し訳ありません！お洋服にお酒を零してしまって…｣

｢いいんだよ、気にしないでくれ。…それよりも、この後個別で会えないかい？｣


嘘やん早すぎかよ。
こいつこれから取引だろ何する気だ。

仕事をしろ仕事を。


｢で、でも〇〇様はこれからお仕事と伺って…｣

｢だからその後さ。…いいだろう？｣


マジかよこいつ思った以上に畜生だな。
…うん、作戦変更だ。


｢…分かりました。〇〇様のお仕事が終わるまでお待ちしております｣


そう言って席を離れ、控え室に向かいながら零くん達へと繋がる無線をonにする。

あちらにはこちら側の会話が聞こえているはずだったか。


｢…もしもし、聞いてたかい｣

｢おい、どういう事だ｣

｢んーと、作戦変更だよ｣

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