南波刑務所のタラシ修理員２【男主】

ゴリラというパワーワード ページ48

ヤンキー座りでウノは目の前の矢印と奥に座る紳士眼鏡に目を向けた。


｢お前こそなんで外にいんだよ！｣


｢俺らはジューゴが居るから。てゆうかお前ら３舎だろ？なんで５舎に居るんだよ｣


｢答えになってな…｣


｢たまには運動しなさいとキジさんに連れて来られたんです。運動も"美"には必要ですから｣


｢トロワてめぇぇ…！｣


｢でもおかしいんですよね。５舎の主任さんには許可をとっていたはずなんですけど…｣


｢着いたら罠にはかかるしキジさんもどっか連れてかれるし｣


ハニーは先ほど自分のセリフが遮られたのを恨むように、今度はトロワのセリフを遮る。


トロワは全く気にしていないが。


｢それでここに入れられたんですよ。変な人形はうろついているし…｣


はぁ…とため息をつく。


｢え、変な人形ってなに？｣


｢その人形は音に反応して寄ってくる。あまり大きな声は出すな｣


｢僕たちが来るまでよく首が飛ばされなかったですね｣


｢げぇ、そんなヤバいのかよ｣


｢おい、変な人形って？｣


｢ともかく出してあげますから矢印のあなた、大人しくしといてくださいよ｣


ウパが言うとハニーは鉄格子から手を離した。


｢なあ、人形ってなんだよ｣


ジューゴが牢と手錠の鍵を外す。


自由になった手を動かしながらトロワが感心したように言った。


｢すごいですね…ウノ君の"ジューゴが居るから"というのはこういう意味だったんですね｣


｢ふふん。スゲーだろ｣


ウノがジューゴの肩に腕を回し、誇らしげに言う。


｢なんでお前が自慢してんだよ｣


ハニーが呆れたように見る。


｢そういえばウノ君達はこれからどうするつもりなんです？｣


｢俺らは下に行こうと思ってる。上に出ようとしても警備が厳重になってるだろうし、猿鬼ってヤツは強いらしいからな｣


｢一度看守と合流して刑期を増やさず、ついでに護衛代わりにして上に行こうということです｣


ウパが補足の説明をつけた。


｢猿鬼というと…囚人殺しでよく名前を聞きますね｣


｢つーか今ってキジさんだけじゃなくてゴリラも猿も捕まってんの？大丈夫なのかよ｣


｢確かにハジメちゃん以外の人大丈夫かな〜？｣


｢自分とこの看守は心配しないのかよ…｣


｢え？ゴリラだし平気だろ｣

｢ゴリラはそう簡単にダメージ受けねーよ｣

｢ハジメちゃん丈夫だからヘイキダヨ｣


ハニーの疑問に対しジューゴ、ウノ、ニコが答える。


どのセリフも心配の欠片も見当たらなかった。

次回予告〜アホ〜→←(自称)イケメントリオ、出会う。

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