南波刑務所のタラシ修理員２【男主】

捕まったGO☆RI☆RA☆ ページ43

部屋は暗かった。


カーテンもすべて引かれ、台所で水の落ちる音が鳴った。


入口を開け、深呼吸をする。


｢さて…少し予定より遅くなったけど｣


黄色をした液につま先を浸す。


｢おやすみなさい｣


コポッという音を立て、全身を液に沈めた。


その液は柔らかい光を出し彼の体を包む＿＿＿

ーーー

『牢が壊されたって…100％猿鬼じゃん…。何かされてたけど…まあやるよね』


修理道具以外にも放送部で借りたカメラを首にかけてAは歩く。


｢A｣


地面を見ながらブツブツ文句を言うAはその声で頭をあげた。


『ああ…こりゃまた…ナントカと煙は上に行きたがるってヤツ？』


地味に重たい首を無理矢理持ち上げその人物を見上げた。


『猿鬼』


｢なにか文句でもあるのか｣


『いーえー、何にもありませんよ。牢が壊された事と貴方様は関係ありませんでしょうから』


｢やはりあるのではないか｣


猿鬼は呆れた顔で目を伏せた。


『それよりも状況報告！』


道具で重たくなった腕を震わしながらあげピッと人差し指を立てる。


『左の胸ポケットにメモ用紙とボールペン入ってるからそれに書いて』


どうせ口で言われても思い出せないし、と自信満々の表情で言うAに猿鬼は哀れみの目を向けた。


サラサラと壊れた箇所とその他の必要事項を書いて胸ポケットに戻す。


『ありがとー…ところで』


Aは鋭く猿鬼を睨む。


猿鬼も睨み返し、緊迫した空気がこの場に広がる。


『どうやってもココの構造が思い出せないんだわ…どうなってたっけ？』


猿鬼は猪里に案内を頼んだ。

ーーー

さて、そんな中ハジメは


｢えーマジ？檻と手錠？ヤバーイ｣


｢檻と手錠が似合うのは囚人だけだよねー！｣


《キャハハ！》


女子高生ノリのウノとニコにばかにされていた。


｢しつけぇぞてめぇら！後で覚えとけ！｣


｢あっはは！悔しかったらそっからでてみろよ、ハジメちゃ…｣


一カメ


ウノの馬鹿にしている顔、ニコの楽しそうな顔、いち早く罠に気づいたジューゴの驚いた顔。


それが正面からうつる。


｢ハジメちゃ…｣


ニカメ


今度は横から、突っ立つハジメと開いた床。


｢ハジメちゃ…｣


三カメ


今度は上から、底の見えない暗闇が見えた。


そして


｢んぎゃああああ！｣


三人は落ちて行った…


その光景を見たハジメの中指が天を指す。


ハゲの…いや、光の反射で中指に後光がさす。


｢ざまあ｣


｢少しは心配しろや！｣

猿に色気なんて知らない→←主人公は社会人として致命的だと思う

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