南波刑務所のタラシ修理員２【男主】

フルコンボだドn((著作権による強制終了 ページ22

ドドドドドドカッダンドンドド、ドドドド


目にも留まらぬ速さ、とはこのことを言うのだろう。


一点を見つめながらひたすら太鼓を叩き続けるA。


その速さにニコも思わず


｢僕、こんなの真似出来ないよ…｣


と呟く。


凄まじい集中力と瞬発力。一体何回このゲームをやればここまで行くのだろうか。


囚人達と星太郎は呆然と彼を見る。


ハジメはいつもの仏頂面で。三鶴は余裕気な笑みをその顔に作り。


それぞれの表情は違うが、Aと南波の達人を見ているという事については皆同じだった。


ダァン！


Aが最後の音を鳴らす。


『ふぅ…』


｢フルコンボだ！やったな！｣


ピピピピと得点と百子アバターが譜面に代わり映し出される。


パチ


誰が最初に叩いたか、もう分からない。


そこは拍手の嵐に飲み込まれた。


｢おい、A！お前こんなこと出来たんだな！｣


ガッとロックが肩を組む。


｢なんかAまた速くなった？俺ちゃんびっくりしたんだけど｣


｢いや、あんまり変わってねぇだろ。集中力の違いだろ。集中力の｣


｢…！Aちゃんすごーい！教えて教えて！どうしたらあんな速く打てるの！？｣


ニコが腕をブンブン振りながら言った。


｢気功を使ってもあそこまで行けるか…。侮れませんね…｣


｢そもそも主任さんとの手合わせの時もなかなか強かったし、ただ者じゃあないでしょ｣


｢ちょっと黙っててください。考え事しているので｣


｢ちょっとぐらい喋らせて！？｣


｢……Aさん、どんだけハイスペックなんですか！？｣


星太郎が堪えかねたように叫んだ。


さて、ここまでで一度も喋っていない人物がいるのをご存知だろうか。


それはまさに八の字飛びで周りから｢ハイ！ハイ！｣｢今だよ！｣｢早く行けよ…｣と言われてプレッシャーがかかり、勇気を出して跳ぼうとはするものの結局跳ばずに列からそっと外れていく小学校時の私のような人物がいるのを！


そうです。ジューゴです。


ジューゴも先程のくそ長い例のようになかなかAに声をかけられずにいた。


そしてくそ長い例のようにそっとその場から離れようとしていた。


しかしそこを逃してくれないのがAだ。


『15番君！感想はある？』


周りを取り囲む人と人の隙間から声をかける。


皆さんは分かるだろうか。授業中突然名指されみんなに注目される人の気持ちは。


同じような状況に置かれたジューゴ。


口を２，３度パクパクさせ、そして。

思いを伝えるのに重要なこと。それは滑舌。→←さりげなく13房メンバーもでてます。本当にさりげなく

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