中原家の反抗期【中原中也】三学期！

国木田 ページ30

中也パパside



娘の様子が昼からおかしい。




3日前に入学試験が終わり、今日が合格発表で緊張してるのはわかる。だが、しっかり者のあいつが1時間に10回以上家の壁に頭をぶつけることなんてあるか？普通。



これには遊びに来た美玲と直哉も驚いている。




「お、おいA…」



直哉がおずおずと名前を呼んだ。



「…あ、直哉君。いらっしゃい。」



気づいてなかったのかよ、おい。




「Aちゃん、美味しいケェキを買ってきたの。一緒に食べましょう？」


美玲も苦笑い気味で話しかけに行く。



「食べよー。」


すっげえ棒読みでAはそう答える。



そしてリビングに行く途中でまた壁にぶつかる。



「Aちゃん。どうしたのかしら…？」





「なんか気味悪りぃ…」




「昼からあの調子なんだよ。緊張してるだけには見えねぇよなぁ…」



3人で頭を寄せ合い、悩んだ末、思いついたのは…




「兎に角、Aに合格発表の20:00まで受験のこと忘れさせるぞ！」




「ええ！」




「うん！」




―――――――

それから俺たちは沢山のことを実行した。




ケェキ。
散歩。
料理作り。



然し、Aの様子が変わることはなかった。


「…そういや彼奴、午前中探偵社行ってたな。気分転換とか言って。」




「そうなの？それじゃあ探偵社の方に聞けば何かわかるかも！」




美玲の意見を聞き、俺は仕方なく、仕方なく！太宰に電話を入れた。


いつもはすぐに出ないのに、今回は1コールで出た。




「…おいだざ」





「あれあれあれぇ？？？その声は蛞蝓君じゃあないかぁ？？おはよー！いや、こんばんは？それともこんにちはかな？あ、そういえば蛞蝓語ではどんな風に言うのだい？？ぜひ私に教えてくれ給えぇぇ！」




そこまで聞いて俺は電話から耳を話した。
電話の奥からは虹色のゾウリムシやらなんやらがまだ聞こえてくる。



その後、ゴン！と音が聞こえてからもしもしと声が聞こえてきた。




「すまない、そちらは中原中也か？」




国木田のようだ。

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