中原家の反抗期【中原中也】三学期！

1人じゃない ページ29

「ハンカチは？」






「持った。」






「筆記用具は？」






「持った。」







「受験票は」





「持ったよ！！しつこいなぁ。」






「心配なんだよ！やっぱり俺が送って」





「絶対嫌、ついてこないで。」




あれから数日、高校の入学試験本番になった。
今は駅の前にいる。私が受ける高校は近くの駅から２つ移動しなければならない。



「…電車の時間だ。そろそろ行くわ。」






「あ、ちょっと待て。」




車に背を向けた時お父さんに呼び止められた。





「何？」



振り返ると目の前にはお弁当とお守りがあった。
どちらも手作りのようだ。





「弁当は俺、お守りは美玲と直哉からだ。持ってけ。」






「…なんで今更お守り？」





「気休めになるだろ。試験前に開けろって言ってたぞ。」





「開けたらダメなんじゃなかったっけ？」






「いいから！」






まぁいいや。私はお守りとお弁当をありがたく受け取った。





「手前はやれば期待以上の結果を出せる奴だ。…やりきってこい。」





そう言ってお父さんは拳を出してきた。




「…言われなくても。」




私は答えるようにお父さんの拳に自分の拳をぶつけ、改札に向かって歩き出した。




――――――――――



うわぁ…なんかみんな賢そう。





そういえば先生が言ってたな。
試験会場にいるやつらは自分より賢く見えるって…あれ本当だったんだ。




お腹痛くなってきた。
緊張するとよくなるんだよね。



…そういえば、お守り試験前に開けろって言ってたっけ。もうすぐ始まるし開けようかな。






お守りの中には四つ折りの紙が入っていた。




その紙には、お母さんや直哉や探偵社員のみんなのメッセージが、書かれていた。





見ているだけで少し落ち着く。







あと5分後には試験が始まる。







頑張ろう。
私は1人じゃないから。

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