人類最後のハッピーバースデー ページ9
「ちょっと外に出てくるよ。」
「なら私も行く。」
「君は家で待ってなよ。寒いしね。」
最後に出かけてから1ヶ月が経とうとしている。
音がなくなって4ヶ月。
お兄ちゃんはこんな凍りつくような寒さの中どこに行くつもりなんだろう。
部屋の中は暖房が使えないから倉庫にあった薪式のストーブを使っている。
「…寒い。」
お兄ちゃん早く帰ってこないかな…
一人は…寂しい。
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「…ん…?」
何かがパチパチと音を立てるので目を覚ました。
「あ。起きた?」
「お兄ちゃん…」
「じゃあAも起きたことだし始めようかな…」
と言ってお兄ちゃんはランタンの火を消した。
「お兄ちゃん…?消したら見えないよ?」
返事は返ってこない。
「お兄ちゃん?どこ?」
声は返ってこない。
私は急に不安になった。
お兄ちゃんまで私を置いて行ってしまったのかと。
「お兄ちゃん!!どこに行ったの?」
暗い。
怖い。
「大丈夫。此処にいるよ。」
後ろで声が聞こえた。
「お兄ちゃん!!」
急いで振り向くと
其処には17と書かれた蝋燭が立っていた。
「お誕生日おめでとう。A。」
「…え?」
「どうしても君を驚かせたかったんだ。内緒にしてごめんね?」
その瞬間涙が溢れた。
そうだった。
12月24日…この日は私の誕生日だったんだ。
「ケーキなんて…何処で手に入ったの…?」
「ケーキ屋にね、電気を使わずにケーキを冷凍保存しているところがあるって噂を聞いてね。1ヶ月前外に出たとき探してたんだ。」
「…お兄ちゃん。」
「こう言うことする柄じゃないのは分かってるんだけど…若しかしたら、君が人類最後に誕生日を迎えるかもしれないと思ったからね。」
「…ねぇ、お兄ちゃん。」
「なに?」
「ありがとう。」
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Wiyu(プロフ) - もう泣く、涙が・・・ あぁぁぁぁああーーーー! (2018年8月27日 17時) (レス) id: 282d795185 (このIDを非表示/違反報告)
みつばち(プロフ) - 岨風さん» コメントありがとうございます!この後更新して続きを書く予定なのでお楽しみにしててください! (2018年8月24日 20時) (レス) id: 623dcd6ce2 (このIDを非表示/違反報告)
みつばち(プロフ) - 誄歌さん» ありがとうございます!ですよね!太宰さんの甘えは私も好きです! (2018年8月24日 20時) (レス) id: 623dcd6ce2 (このIDを非表示/違反報告)
みつばち(プロフ) - ヒラハルさん» ありがとうございます!ボロ泣き…!!あなた様の感情を動かせたようで嬉しいです!! (2018年8月24日 20時) (レス) id: 623dcd6ce2 (このIDを非表示/違反報告)
岨風 - これってハッピーエンドですかバッドエンドですかあああああぁ!!バッドエンドだったら…太宰さん… (2018年8月24日 19時) (レス) id: e97a1e8ef9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みつばち | 作成日時:2018年8月7日 13時