四十羽。 ページ41
じゃあ今からご飯作るから、と解散して数分。
窓際で本を読んでいると足音が近づく。
鬱「Aちゃん」
「大先生じゃない、何か？」
鬱「いや何もないんやけどな、皆構ってくれないから」
大先生ってすごく信頼されてる、信用はきっとされてないけど。仕事を任せられるって雰囲気じゃないけど。
皆が本当に心から笑えているかなんて、私にはわからないし…
大先生みたいになれたら、
「ねえ、あの…い、いやなら良いのよ？
嫌なら良いんだけど、…どうしたら貴方みたいになれるの？」
大先生は驚いたような顔をして、静かに笑った。
鬱「俺みたいになっちゃダメやで？女の子やろ」
「…？人格者は共通して美しいものよ。」
貴方が人格者かどうかは置いておくとして。
鬱「ああそう言うことじゃなくてな、…まあ僕の普段の言行見たらわかると思うんですけど、」
「また自虐ね。そこは嫌いじゃないけど好きでもないわ。どうやったら皆と馴染めるのかってこと」
大先生が鼻で笑った。たまに見る笑い方。
鬱「俺とは馴染んでると思ってる？」
その後すぐに作った繕うような笑みが、父様が仰っていた"日本人"だった。
どうしても出ちゃうような本音なら、繕わなくて良いのに。
「うーん、誰とは馴染めてると思う？」
鬱「えー…ゾムとかげどちゃん、マンちゃんあたりちゃう？」
「そうね…ゾムは弟って感じだけど、あの二人はお兄ちゃんみたい」
どうしてあんなに穏やかで安心感のある雰囲気なのかしら、大人よね。
鬱「でも誰が信頼してようが、俺らに危害を加えることはできるよね」
青い瞳が濡れ烏の髪で隠れる。
ああ、そういうとこ、ほんと似てるわ。
「ゾムも同じようなこと言ってた。」
お互いに薄く笑みを浮かべて、小さく大先生が呟いた。
鬱「事の後は無防備になる、特に男は。
大体女が行動を起こすのはその時や」
ヨーロッパでもそんな話があるわ。敵軍に寝返ると見せかけて、後に大将の首を切って持って帰る。
この人はきっと飢えてるのね。
半端にもらっちゃったからもっとあるの知ってる、
だけど自分は充分貰ってると思って耐えてる。
ああ、私また他人の気持ちを決めつけちゃおうとしてるわ。そこが良くないのかな。
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癒葉(プロフ) - 星空りゅなさん» ありがとうございます！月末はもっと力を入れて更新したいと思います(〃'ω') (2017年8月15日 16時) (
レス) id: 0156353fc1 (このIDを非表示/違反報告)
星空りゅな - とても面白いです…！ゾムさん好きなので書斎のお話嬉しかったです！更新待ってます、更新頑張ってください！ (2017年8月15日 12時) (レス) id: e1f99b34a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：癒葉 | 作成日時：2017年8月9日 10時
