十二羽。 ページ13
ゾム「抵抗、しないんやな」
「貴方が力を入れただけ、私も入れるわ」
馬鹿、だと思った。
微笑みを崩さないままだし、俺が力入れただけ自分も、って、
それ最終的には俺の力に追いつけなくなるし、相当耐えなきゃ力抜けるで。
少し、少しだけ力を入れるとその笑みが崩れる。
苦しそうな顔。Aの手に力は入ってない。
…ほらな
「私は貴方を信用する。家族でしょ」
ゾム「そんな取って付けた理由いらんで。会ったばっかりの奴を家族ってよう言えたな」
「なら貴方に納得してもらえるよう言うわ、寂しさを埋めるために貴方たちといるのよ。
その為には、私から信用して貴方にも信用してもらわなきゃいけない」
俺らを利用するんや。笑える。
俺の今までにないくらいの冷ややかな目を、こいつに向けてやろうと思った。
そんな答えじゃなきゃ納得してくれないんでしょ、と無理に微笑んだ顔を見た。
ゾム「…あ、」
力が抜ける。
ごめん、口をついて言葉が出た。
あれ、俺何してんねやろ、あれ
Aが咳き込んで、
「ほんとうに家族になったら、私は利用なんて嘘でも絶対言わないわ。」
ずっと強く光を湛えた目に、取り憑かれそうになる。
「貴方が私の首に手をかけたこと、は。私が利用なんて嘘をついたのは。
…思い出よ。家族になる前の時の、貴重な出来事」
正直に答えて、私が利用すると思ってるでしょとAがコロコロ笑った。
余裕を取り戻したようだ。
はあ、
この娘を略奪したい。何から？
_全てから。
自分のものにしたいだけ、支配欲じゃない。独占欲、にはちょっと似てるけど。
黙り込む俺が、利用と言ったことを怒っていると思ったらしいAは俺に視線を合わせた。
ごめんなさい、気が済まないならもう一度締めていいと言われたので三回ほど首に口づける。
驚いたような照れたような、でも嬉しそうなAの顔を見てしてやったりと笑みが溢れる。
ゾム「西洋では挨拶って言ってたのお前やんけ」
「わ、私の国ではかなり信用してないとしないの！普通一回だけだし…」
じゃあこれは違う、と言うと残念そうにする。
首に頭を埋めるとやめてと言う。なんやこいつ。
「…信じてくれるの？」
ゾム「…、Aがするならやな」
「ふ、…勿論よ。ありがとう」
結局なんとなく、俺はこの西洋の娘を信用した。
好きかもしれない、とは認めない。
いじり甲斐がありそうな奴は、どうしても友達が心地いい、はず。
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癒葉(プロフ) - 星空りゅなさん» ありがとうございます！月末はもっと力を入れて更新したいと思います(〃'ω') (2017年8月15日 16時) (
レス) id: 0156353fc1 (このIDを非表示/違反報告)
星空りゅな - とても面白いです…！ゾムさん好きなので書斎のお話嬉しかったです！更新待ってます、更新頑張ってください！ (2017年8月15日 12時) (レス) id: e1f99b34a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：癒葉 | 作成日時：2017年8月9日 10時
