第34話 ページ37
ガツン、
｢…っ、た…｣
頭部への鈍い痛みで目が覚めた。流血のせいか視界が赤くぼやけている。
男2｢テメェ何勝手なことしてんだ？無傷で拘束だっつったろ｣
男｢るせえな、アイツらに渡すよりここで殺しちまった方が高くつくだろうがよ｣
ゆっくりと辺りを確認すると、移動したのか見慣れない倉庫のような景色と先程の男3人。体は入念に縛られており、パイプのようなものに括り付けられている。
｢…誰の命令？｣
男｢あ？…チッ、今ので目覚ましやがったのかよ｣
聞くまでもなくわざわざ私だけを狙うなんて五条家以外有り得ない。
そこを上層部が一枚噛んで、実際発生していない呪霊の任務をでっち上げてA捕獲作戦てとこだろう。このことを知らない補助監督達がいくら調べてもそりゃ何も分からない訳だ。
母親を殺して、恩人を殺して、やっと私の番か。
｢…最初から…｣
男2｢…あ？｣
｢…はは、タイミング悪かったね｣
体の後ろで羅黒を錬成し縄を切り裂く。臨戦態勢に入った男達はなんだか可笑しくて仕方がない。
血溜まりになった羅黒を横目に立ち上がり、男達に歩み寄る。
｢ほんとタイミング最悪だよ、もう少し前なら命乞いする私が見れたかもしれないのに…｣
血の糸を飛ばして男の持っていた拳銃を奪った。
男｢ッ…！？｣
｢殺せば懸賞金、生かせば報酬…嫌だなあ、それが私の最期とか。かっこ悪くて堪らない。｣
殺意の代わりに手に入れた気持ちなんて傲慢で自己中で、とても見せられるようなものじゃなくて。
この気持ちに正直になってもきっとハッピーエンドは待っていない。
だから、キリのいいとこで終わらせてみよう。これは甚爾さんの為の人生。私は甚爾さんの為に生きた。
だからここで終わり。
｢術師は呪力で殺さなければいけない。何故なら死後呪いに転ずるから…｣
呪いになれば呪殺失敗とし、懸賞金は出ない。
男｢ッ！？コイツ止めろ！！！まさか｣
トリガーを引きこめかみに当てる。金属のひやりとした感触が心拍数を上げ、指先を震えさせた。
…最初から私を殺せばよかったのに
瞬間、建物の壁が吹き飛び、爆風で体ごと飛ばされかけた。
風が収まり目を開けると、目の前に大柄な目隠しの男。
｢さと、る｣
勝手に出てきた涙が、汚れたコンクリートにしみを作った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 445人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
早瀬(プロフ) - ツバメさん» コメントありがとうございます、嬉しいです！ 失われた悟への負の感情は甚爾との再会でどうなってしまうのでしょう、渋谷事変の時に何かあるかもしれませんね… (2021年8月27日 13時) (
レス) id: 9d2a32be79 (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - もっともっと更新頑張って下さい楽しみにしてます 夢主のそばから居なくなってしまった甚爾が急に悟と夢主の前に現れたらってイメージしてしまいます (2021年8月27日 13時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - ツバメさん» 嬉しいです、ありがとうございます。特別編面白そうですね…考えてみます、貴重なご意見ありがとうございます。 (2021年7月28日 23時) (レス) id: 9d2a32be79 (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 何だかんだ面白いし案外以外だなとも思います 続編期待してます 出来れば内容的に少し変わっちゃうだろうけど五条と五条妹と妹と一緒にいる甚爾生存編特別編で見れないでしょか (2021年7月24日 0時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：早瀬 | 作成日時：2021年6月2日 15時
