第15話 ページ17
………
悟「A、今から1年の3人が居る少年院に向かってくれ」
予定もなくグラウンドで運動をしていた。…初めての電話がこんな形になるとは思わなかった。
「…何かあった?」
悟「伊地知がAの番号持ってないから、こっちに掛けてきた。呪胎が孵化したらしい。…特級だ。」
特級。
呪術師として生きていると、"最悪の場合"がよく訪れる。今回だってそう。万が一孵化して特級になったら…が現実となってしまった。
「…そう、わかった。私の術式の方が早いから今から向かう。伊地知さんには迎えはいらないって伝えて。」
悟「了解」
少年院までの距離は遠く、赤血操術で蜘蛛の巣を巡らせたらきっと失血する。土蜘蛛にお願いしよう。
「…土蜘蛛」
ドスン、という音と共にビリビリと振動が伝う。
「少年院まで連れて行って、なるべく早く。」
背中に乗りそう告げると、少年院の方向に糸が張られ凄い勢いで土蜘蛛が動き出す。
どうか間に合って、耐えて…。
体感で3分程度だろうか、あっという間に少年院の上空に着く。術を解き、門の近くに立っていた恵くんのとこに走っていった。
「恵くん!」
恵「A先生!?どうしてここに」
「伊地知さんに呼ばれた!それで、特級は!?」
呪霊による呪力の気配が辺りを包むが呪霊自体見つからない。悠仁くんと野薔薇さんも。
恵「建物の中です。釘崎は負傷したので伊地知さんに引渡しました。虎杖が宿儺に代わって相手をすると言ってて…今建物に入るのは危険です。」
今の3人は特級相手じゃ歯が立たないとはいえ、宿儺は呪い…私達にとって敵だ。あまりにリスクが高すぎる。
私なら…
恵「A先生、どこ行くんですか?今合流したとして宿儺は先生を襲いますよ。」
「…分かってる。でも万が一、宿儺によって悠仁くんの命が危なくなったらどうするの」
恵「あんた正気か?自分が死ぬのは良いって言うのかよ」
恵くん、イライラしてる。だからって私が死ぬ必要は無いって言いたいんだろうな。
純粋な正義を否定するのは心が痛むけど…倫理観を捨てた選択が正しかったりするんだ。特に呪術界は…
「恵くん、残酷なことを言うよ。」
「…時には、合理的な命の選択も必要だ。」
絶望した顔の恵くんに背を向けて、建物に足を進める。
瞬間
特級の呪力が消えた。
まさか
「っ!恵くん、後ろ!」
急いで振り返る。また"最悪の場合"だ。
宿儺「ククク…女、勘はよいのだな。」
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早瀬(プロフ) - ツバメさん» コメントありがとうございます、嬉しいです! 失われた悟への負の感情は甚爾との再会でどうなってしまうのでしょう、渋谷事変の時に何かあるかもしれませんね… (2021年8月27日 13時) (レス) id: 9d2a32be79 (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - もっともっと更新頑張って下さい楽しみにしてます 夢主のそばから居なくなってしまった甚爾が急に悟と夢主の前に現れたらってイメージしてしまいます (2021年8月27日 13時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - ツバメさん» 嬉しいです、ありがとうございます。特別編面白そうですね…考えてみます、貴重なご意見ありがとうございます。 (2021年7月28日 23時) (レス) id: 9d2a32be79 (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 何だかんだ面白いし案外以外だなとも思います 続編期待してます 出来れば内容的に少し変わっちゃうだろうけど五条と五条妹と妹と一緒にいる甚爾生存編特別編で見れないでしょか (2021年7月24日 0時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早瀬 | 作成日時:2021年6月2日 15時