ハッピーハロウィン!/おついち ページ17
こんこんこん、とノックを三回。
中から「はあい」と返ってきた返事に、ひょっこりドアから顔を覗かせる。ヘッドホンを外しながら、優しく目尻を和らげたおついちさんが「どうしたの?」と首を傾げた。
「おついちさん、忙しい?」
「いや?いま編集終わったとこ」
「あ、そう。そうなの。うふふ」
「えー?何なのこの子」
呆れ顔で私を見る彼。私はきょろきょろと部屋を見回し、お菓子らしきモノが無いことを確認してから、バッと両手を差し出した。
「トリックオアトリート!お菓子くれなきゃイタズ…」
「はいどーぞ」
「ラアァア!?何で!?何で持ってんの!?」
「君は何を残念がってんの?」
手のひらに乗せられた飴玉に、悔し涙を流す私。
姑息な女と罵ってくれてかまわない。
今日のハロウィンでイタズラを成功させるため、この部屋にあるお菓子は全て取り除いたはずだった。なのに、なぜ!どうして!!
膝から崩れ落ちる私をシラっと見下ろし、「んなことだろうと思ったわ」と私から飴玉を奪い取る彼。
わ、私のトリートまで…!トリックもトリートもないハロウィンなんてハロウィンじゃない!やだこんなの!
「やだやだ〜!イタズラさせてよおついちぃ〜」
「一応聞いてあげるけど、俺に何するつもりだったわけ?」
「…聞きたい?」
おついちさんのえっち♡とふざけてシナを作れば、「はよ言え」と額を小突かれる。
別に大したことじゃないけど、いっぱい好きって言って、いっぱいチューして、ぎゅって抱き締めてもらうつもりだった。…とは、恥ずかしくて言えず。
視線を逸らして言い淀めば、彼はニヤリと口角を上げた。
「ふーん?言えないよーなコトなんだ」
「……」
「えっちなのは一体どっちだろうねぇ?」
くつくつ喉を鳴らすおついちさんを恨みがましく見上げれば、ガリッと飴を噛み砕いた彼が、「時にAくん」と、なんだかイヤーな笑顔…。
「キミ、お菓子持ってる?」
「……持ってない」
「あっそう。んふふ」
ニヤニヤと笑う彼に「おいで」と手招きされて近寄れば、膝に座るよう促される。素直に腰を下ろす私を腕の中に閉じ込めると、おついちさんはそっと私に口付けた。
たったそれだけで、お腹の奥がきゅうんと甘く疼いてしまう。
「ねえAちゃん」
悪魔みたいな笑みを浮かべて、彼は私の耳元に唇を寄せた。
Trick or Treat!
(お菓子くれなきゃイタズラしちゃうよ)
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はやさか(プロフ) - へーすけさん» 初めまして!そして、返信が一年ぶりという非礼を詫びさせてください…orz 素敵なんて言っていただいたの初めてでとっても嬉しいです〜!ありがとうございます! (2020年12月18日 21時) (レス) id: bd75fcb4fa (このIDを非表示/違反報告)
へーすけ - 初めまして、へーすけと申します。はやさかさんの素敵な夢小説を読ませていただきました。誠に勝手ながらこっそりと応援しています。 (2019年7月22日 21時) (レス) id: 53845ff19b (このIDを非表示/違反報告)
はやさか(プロフ) - みぃさん» 返信遅くてすみません!!私も語彙力と文章力の無さに日々悩まされております……ありがとうございます、またみぃさんの作品も拝見させていただきますね! (2019年6月24日 16時) (レス) id: bd75fcb4fa (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - はやさかさん» 返信ありがとうございます!!私も色々書いておりますが語彙力が無さすぎて汗これからも頑張ってください!! (2019年1月6日 0時) (レス) id: f861e836fe (このIDを非表示/違反報告)
はやさか(プロフ) - みぃまさん» 遅くなってしまい御免なさい!有難うございます、この一年ろくに書けなかったので今年は沢山書きたいです! (2018年12月29日 10時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はやさか | 作成日時:2018年3月29日 22時