おはよう月曜日/弟者 ページ1
「Aいい加減起きて!遅刻!」
「ううん……」
ゆさゆさと体を大きく揺さぶられ、吐き気を催す前に返事を返す。
根気でうっすら開けた瞼の先、ジッと間近で私を見詰める弟者くん
……の姿が、だんだんと微睡んでぼや〜っと滲んでく。
「もー、また寝たら意味無いでしょ!」
「だってぇ……」
「仕方ねぇなあ。ほら、つかまって」
抱えてくれる彼の首に腕を回して、がっしりとした腰をホールドする私はナマケモノのごとく。
弟者くんは「あ〜重い重い!」なんて文句を言いながら洗面所まで連れてってくれる。
「ほらタオル。着替えもここ置いとくよ」
「いやはやカタジケない」
「そう思うなら早起きしなさいよ!いっつもどうやって起きてんの?そもそもヨモは…」
顔を洗う私の隣、腕組みをしてガミガミとお説教する彼。その姿がちょっとだけ兄者さんに似ていて、私は思わず頬を緩めた。
「いつもは早起きなんだよ私」
「今日寝坊してんじゃん」
「いやそれは…」
弟者くんが寝させてくれなかったから。
そう言おうとしたけど、火に油だなと思いとどまって黙り込む。それに、いつも優しい弟者くんに叱られるのは何だか新鮮で気分がいい。
「…何笑ってんの?ちゃんと俺の話聞いてた?」
「き、聞いてたよ!全然笑ってないない!」
「ほんと〜?まあいいけど。俺もう時間だから」
ジロリと疑い深い彼に、「襟が曲がってますぜ旦那〜」なんてご機嫌を取りつつ玄関まで見送る。実際、彼の身なりは頭のてっぺんから爪の先までピッシリ整えられているので、私が手出しする余地なんてないのだけど。
「弟者くん、次はいつ泊まりに来れるのかな」
玄関に座り込んで靴を履く広い背中に問い掛ける。
弟者くんは「そうねぇ」と唸った。
「実況も仕事も忙しいから、泊まりどころか会えるのも週末になるかも」
「週末…週末かぁ。長いね、一週間」
ポツリとこぼした私に、寂しい?なんてイタズラに笑って顔を覗き込んでくる彼。「全然!」と強気にガッツポーズをとると、弟者くんは優しく笑ってくれた。
「…けど、いってきますのハグが欲しいです」
両手をいっぱいに広げる。
ぎゅうっと強めに抱き締められてちょっと痛いけど、じんわり温かくなった心から溢れるしあわせに、私もぎゅっと彼を抱き締めた。
おはよう月曜日
(ぶわあん、ざびじいよ弟者ぐん〜!)
(A、まだ1日も経ってない)
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はやさか(プロフ) - へーすけさん» 初めまして!そして、返信が一年ぶりという非礼を詫びさせてください…orz 素敵なんて言っていただいたの初めてでとっても嬉しいです〜!ありがとうございます! (2020年12月18日 21時) (レス) id: bd75fcb4fa (このIDを非表示/違反報告)
へーすけ - 初めまして、へーすけと申します。はやさかさんの素敵な夢小説を読ませていただきました。誠に勝手ながらこっそりと応援しています。 (2019年7月22日 21時) (レス) id: 53845ff19b (このIDを非表示/違反報告)
はやさか(プロフ) - みぃさん» 返信遅くてすみません!!私も語彙力と文章力の無さに日々悩まされております……ありがとうございます、またみぃさんの作品も拝見させていただきますね! (2019年6月24日 16時) (レス) id: bd75fcb4fa (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - はやさかさん» 返信ありがとうございます!!私も色々書いておりますが語彙力が無さすぎて汗これからも頑張ってください!! (2019年1月6日 0時) (レス) id: f861e836fe (このIDを非表示/違反報告)
はやさか(プロフ) - みぃまさん» 遅くなってしまい御免なさい!有難うございます、この一年ろくに書けなかったので今年は沢山書きたいです! (2018年12月29日 10時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はやさか | 作成日時:2018年3月29日 22時