花、そして散る*5 (ページ47)

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朝から雑音が耳に入ってきた。

ザーザーと雨が降る音。

雨の中を通る車が水を弾く音。

大っ嫌い。

雨の日なんて大っ嫌い。

写真を撮ると、濁った画になるから。
灰色の空から、地上に降ってくるのはただの雫。邪魔でしかたがない。

雨上がりの空は好きだけど。
虹がかかった空なんて、綺麗としか言えない。

今日の空模様は、雨。

昨日見た天気予報では、晴れ後曇り。

また外れた、天気予報。

アスファルトに叩きつけられるように降る雨。
バケツをひっくり返したようで、大粒の雫たちは、小雨とは言えない。

大雨というべき。

この雨を、気象予報士は予測出来なかったのか。この雨が分かっていれば、まだ気分は晴れはしないが、曇り程度には留まっただろう。

今の私は、どしゃ降りだ。

今日が憂鬱な気分で始まる。

大きなトランクを引いて、最寄りの駅まで歩く。東京ドームの最寄り駅は通り過ぎ、東京駅へと向かう。

今日から３連戦は敵地、甲子園で行う。

まだ神宮とか、横浜だったらいいのに。
兵庫まで行くんだ。勇人の出身地。飴ちゃんマンの出没エリア。

私は初めて行く所。

もうすぐしたら、交流戦で北海道なんてこともあるから、今のうちに慣れないとね。

新幹線に揺られて、東京をバイバイ。

兵庫、はじめまして。

『ふぁー、眠っ』

内海「お前、いっつも一番後ろで寝てんやんか。リクライニング最大に下げて」

『そりゃー、阿部さんの隣やから？』

内海「パーのくせに。罰としてご当地キティストラップ買ってなー」

『何でー？内海さんそういう趣味あったんや』

内海「ちゃうって、子どもからのリクエスト」

東京ではこの二人くらいだけが話していた関西弁が、至るところから聞こえてくる。

何もかもが新鮮。

『内海さんの方が稼いでんやし、自分で買ってくださーい。俺、Aに買ったるんで』

内海「ご当地キティ？」

『な訳ないやろ！』

うん。このやり取り全部聞こえてたけど、勇人の言う通りご当地キティはいらないや。

そういうキャラじゃないでしょ？

それに、今まで貰ったお土産と言えば、野球関連の物だったし。