花、そして散る*5 (ページ46)

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読売ジャイアンツ球団職員、浅香A。

主な仕事は、選手をカメラに納めること。

でも、事務的なこともするし、広報の仕事もちょっぴりある。

仕事場所は、選手たちの聖地“東京ドーム”だけじゃなくて、出版社とかテレビ局とか。広告会社にまでも出向かう。

移動手段は車が主流。

免許は取ったけど、マイカーはまだ持ってないから会社の車を使うか、佐藤先輩の車に同乗している。

忙しいんだよ、結構。

全ては選手のためだけど。

多くの人に、巨人を愛してもらうために。

勇人ファンが増えていくと思うと、ちょっと複雑なんだけど。

私の出社時間、９時。

家からドームまで電車で１０分。
自転車で２０分。
車で２０分。

徒歩は、絶望的。

結構体力が必要な仕事だから、通勤で体力を消耗するのだけは、避けたい。

自転車が車と同じ時間で着くのは、車では通れない裏道を通るから。

黒猫がいる道。

右に、左に、何回も曲がる。

肌にあたる春風が心地よい。

最近の私の通勤スタイルは、この自転車。

8:30に、玄関に置かれた自転車のカギを人差し指指に引っかけて、愛車へと向かう。

勇人から勧められた音楽を、私の耳へと伝えるiPodは、交通違反になるから一時停止。

イヤホンを取って、本体にぐるぐると巻く。

鞄の中へと納められた白いiPodは、お昼までサヨナラ。

ドームについても、まだ選手たちは居ない。

午前の仕事が終わり、お昼を食べている頃にロッカールームが騒がしくなる。

耳に残る関西弁が聞こえてきたら、彼が来た証拠。カメラを首にかける。

ここからは、一眼レフと一緒に動く。

練習中、ホームページに載せるための写真を撮る。選手からの要望が聞けたりするのも、この時間。

交友関係とかも、直ぐに見えてくる。

試合が始まれば、首にかかっていた一眼レフの代わりに、私の横には大きなカメラ。

私の相棒。ここから、勇人たちを追い続ける。

試合が終われば、写真の整理。
いい写真が多いと、いい仕事したなって思う。

選手の話し相手に少しなって、仕事終了。

［花］に向かって自転車を走らせる。

雨の日は、電車を使うか……

大好きな人の車、二人っきりで［花］に帰る。