花、そして散る*5 (ページ45)

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レイラ「楽しかったっ。また来るねー」

トーマス「久、ばいばーい」

波留「内海に言っといて、次に完全試合達成したら認めてやるって」

明日の朝のフライトで帰るみんな。

今日の日本観光も、もう終わりってことで、お別れの挨拶。

ジャックは何も言わずに、宮國さんを睨んでるけど。“明日からは、レイラの隣は俺のものだからな”って感じで。

『またなー』

田中『またね』

手を振り見送る者たち。
先に見える者に、大きく手を振る。

田中くんは、このまま日本に残るって。

宮國さんは、ジャックの目が怖いのか、遠慮がちに手を振った。

見送り人はそれぞれの家へ足を向ける。

私は、レイラたちと［花］に帰る。
勇人に手を振り“また明日ね”と告げる。

帰りの電車、お母さんとジャックはすぐに眠りについてしまった。

レイラ「はぁー、疲れた」

トーマス「人いっぱい居たね」

「疲れなかった？」

トーマス「久が抱っこしてくれたから大丈夫」

レイラ「トーマスは本当に久が大好きだよね」

確かに。いっつも“久っ”って言ってくっついている。その光景は、仲の良い親子のようで、見ていて心が和む。

トーマスが長野さんを見る目は、お父さんを見る目のような気がして。

そして長野さんは、いつも少し寂しそうな目を見せる。

そんな気がする。

気のせいかな。

「ただいま」

花「おかえりー。どうやった？」

トーマス「もう最高だったよ」

レイラ「でも眠ーい」

花「お風呂沸いてるわよ」

レイラは目を擦りながらお風呂へ向かって行った。トーマスは、花さんに今日のことを楽しそうに話している。

私は、明日に備えて寝ることにした。

そういえば、レイラたちが貰った名刺。
実はね、私も前に貰ったことあるんだ。一枚だけどね。

思い出して、久しぶりに見てみた。

一応ね、よく分かんなかったからお母さんに取っとけって言われて机の中にしまっていた。

“プロダクション……平田勇人”

っふふ、

“勇人”だって。

偶然に決まってるのにね。

最近、こんなことばっかり。

“６”って数字を見つけると写真を撮っちゃう。なんでも“６”にこだわってきたり。

勇人色に染められてきちゃった。