花、そして散る*5 (ページ5)

今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:112,635 hit

5* ページ5

原「長野、そろそろ出ろよ」

長野「あっ、ヤベっ」

ミーティング開始時間まで、残り時間があと数分となった。不自然じゃないように長野さんを向かわせる原監督。

もしかしたら、１番このドッキリを楽しんでいる人なのかもしれない。

原「佐藤とAちゃん。よろしくな、作戦通り」

佐藤「はい」

「分かりました」

軽い足取りで部屋を後にする、原監督の姿を見て、佐藤さんと一緒に頬を緩ませた。

本番前の緊張をほぐす感じで、リラックス。

佐藤「遂に始まっちゃったね」

「楽しみです」

佐藤「緊張したりしないの？」

「さっきの原監督のでとれました」

佐藤「やっぱり？僕も、原監督はたまにああいうのあるんだよね。名前覚えてくれて嬉しいんだけど、ちょ……」

やっぱり独り言多い。

早口言葉みたいで、何言ってるか途中から分からなくなる。佐藤さんもさっきの原監督ので緊張とれたっていうのは分かったけど。

「あっ、そろそろですよね？」

佐藤「本当だ。行こうか」

長くなりそうな独り言を中断させて、ミーティング中の会議室へと向かう。

足取りは軽やかとは、言えない。
頭の中は挨拶と自己紹介の言葉と、勇人の反応でいっぱい。ほぐれた緊張がまたやって来た。

“オフィシャルカメラマンとなりました、浅香Aです”

これ、真顔で言わないといけないんだよな。
内海さんとかが余計なこと言いませんように。

知らないのが内海さんとか澤村さんって結構大変だな。

佐藤「じゃっ、ここで待ってて」

「はい」

“失礼します、新人の挨拶を……”

台本通りに進めていく佐藤さん。

部屋の中の様子も、
“中学校の時とかの転校生が来るぞ”っていう感じて、問題なさそう。

“入って”と佐藤さんからの合図があり、呼吸を整えてから、足を進める。

真顔で、宮國さんが来るまでは続ける。

よし、準備OK。

部屋へ入る。みんなの目線が集まっているのがすぐに分かる。

勇人は、ビックリして声が出ないのか、それとも気づいていないのか、まだ何も反応がない。
内海さんもまだセーフ。

顔をあげると、

『嘘やん』

気づいた。

「この度、オフィシャルカメラマンとなりました、浅香Aです。よろしくお願いいたします」

言い切った。

『Aやん「Aちゃーん！？」

内海さん……

見せ場持ってかないでー。