花、そして散る*5 (ページ4)

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“じゃっ、作戦確認。阿部、頼む”

という原監督の言葉を受け、作戦を一通り説明していく副隊長。

隊長は、もちろん原監督。

私の知らないところで話はどんどん進んでいた。役割分担も決まっていた。

阿部「まず、ミーティングを普通にする。Aちゃんは、佐藤と外で待機」

全員「「「おっす」」」

阿部「ミーティングが終わったら、まず佐藤が入ってくる。そんで“新人の紹介しまーす”ってAちゃんを呼ぶ」

佐藤「了解です」

阿部「Aちゃんは、これに着替えてね」

そう手渡されたのは、巨人軍のジャージ。

カメラマンっていっても、カメラマン席から撮るだけが仕事じゃない。練習中とかも選手をそれぞれ撮らないといけない。だから動きやすいように、みんな着ている。

今までの制服の代わりになる。大事な服。

いつまで着ていられるかな？

阿部「それで、Aちゃんが出てきたら絶対勇人が驚く。その瞬間の間抜けな顔を長野と由伸さんで激写」

由伸「ビール掛けの復讐、復讐」

長野「Aちゃん、後でカメラ教えてね」

「はいっ」

で、残った杉内さんはムービー係。村田さんと山口さんは、２人で“今日、新人カメラマンくるらしいっすよ”みたいに、話を盛り上げておくんだって。

阿部「で、椋丞。お前はこれな。大役だぞ」

宮國「あっ、テレビに出てくるやつだ」

長野「なんで椋丞？」

原「その方が勇人の顔が面白くなるからな」

「内海さんには言って無いんですよね？」

阿部「あぁ、うん。そこが問題なんだよな」

宮國さんは“ドッキリ大成功！”って描かれたプレートを持って行く係になった。テレビでよく見るあのプレート、作ったのかな。

“坂本勇人に、ドッキリ大成功！”

って描かれている、特注品。
さすがプロ野球選手、やることが違う。

こんなに入念に準備しているけど、
内海さん、勇人よりいい反応しそうで怖い。

問題の内海さん対策は、みんなでそれぞれ頑張ろうってことになったけど。成功するかな？
この１０人以外は、私が採用されたこと知らない。若手の人は私が誰かさえ知らないもんね。

“作戦開始！”

原監督の言葉を合図に、みんなそれぞれの持ち場へ散る。みんなにバレないように１人、２人ずつね。

長野「おっ、似合うね」

「ありがとうございます」

ジャージへと着替えた私。

似合うって言われちゃった、
勇人には叶わないけど。