花、そして散る*5 (ページ1)

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暖かな日差しが降り注ぎ、
鳥も巣を旅立つ頃

僕たちはこの学校を卒業し、
新たな場所へと飛び立ちます。

卒業生代表の言葉ってやつ。

長い紙に書かれたこの言葉を、生徒会長が読んでいる。はっきり言って、興味無いです。
今の私の頭の中は、これからのことでいっぱいだから。私は、東京ドームへと飛び立つから。

私、浅香A。高校生活は何かといろいろありました。そんな私も遂に、高校を卒業し、
晴れて社会人となります。

でもね、高校卒業の余韻に浸っている場合じゃない。このあと直ぐにドームで巨人軍と合流。

高校生と違って大忙し。

弥生「A、写真撮ろー」

「いいよー」

２人で卒業証書を持ち、近くに居たからという理由で、田中くんに写真を撮ってもらった。

“本格的に撮るより、ちょっと素人が撮ったくらいが思い出写真にはいいでしょ”っていうのが弥生の持論。

田中くんもなんか笑顔だし良かったのかも。

きっと、近くにいたのは……

“高坂ー、浅香。写真一緒に撮ろーぜ”

“一緒に写真撮って”

まわりにいる男子と一緒で、弥生と写真が撮りたかったからかな？弥生がアメリカ行くと知って、みんな必死。

“田中先輩、写真お願いします”

田中くんも人気だけど。この２人お似合いだと思うんだよな。田中くん、弥生のこと好きでしょ。

弥生がアメリカ行くってこと知った時、

“俺も、アメリカに行こうかなー。バカでも受かる大学に”なんて言ってた。

弥生は“またバカにされた”ってムカついていたけど、絶対田中くんの照れ隠しだよ。
私もよく勇人にやられるんだ、デコピン。

“罰ゲームな”って言って、ゲームに負けたりすると、おでこにバチンって。でも、もちろんそんなに痛くない。

“ゴメンなー。はい、消毒するで”ってデコピンの後に、毎回おでこにキスを落とすのも忘れない。全然罰ゲームじゃないんだ。

田中「浅香、ちょっといい？」

「あっ、うん」

弥生は男子からのラブコールを受けていて、大忙し。私はその場から逃げ出すかのように、田中くんと人気の無い場所へ向かった。

「どうしたの？」

田中「高坂ってさ、本当にアメリカ行くの？」

「そうだけど。もしかして、田中くんって弥生のこと…」

田中「バレてた？でも俺、前は浅香派だったんだぜ」

やっぱり弥生のこと好きだったんだ、って

へ？

前は浅香派って……

私！？