一怪目 ページ1
『ふぅ…疲れたぁ…。』
僕の名前は九十九A。
僕とか言ってるけど一応女。23歳独身。
家が神社って事以外は普通の会社員だよ。
…って、誰に向かって言ってるんだろう…。
疲れてるんだな、きっと。
僕は心の中で独り言を呟きながら無心でいつもの道を歩く。
お爺ちゃんに「18時に一人で出歩いたらあかんよ。」
って言われてるけど…定時に帰るとこの時間になるんだよなぁ…。
まぁ今までなんともなかったし大丈夫だよね。
僕はまたそんな独り言を呟きながら歩き続けた。
しばらく歩くと、段々と日が沈み空はなんとも言えないオレンジ色になっていた。
ふと前を見ると、あの空と同じようなオレンジの着物を来た少年…？が道に座り込んでいる。
僕は不思議に思って近づくけど、少年はまだ僕に気づいていないようだ。
思い切って声をかける。
『ねぇ君、こんなところで座り込んで何してるの？』
そこ声に驚いたのか少年は僕の方を見て大きく目を見開いた。
よく見ると少年はボロボロで、あらゆるところに切り傷…のようなものがあった。
怪我して動けなかったのだろうか…？
僕が少年に触れようとしたその時、少年が大声を出した。
「あ、あんさん、俺の事が見えんの？！」
急な質問に驚きながらも、しっかり答える。
『み、見えるけど…それがどうしたの？』
すると少年は切羽詰まった表情で僕に向かってさらに大声をあげた。
「た、助けてや…！！襲われてんねん…！！」
『お、襲われてる…？？』
少年は襲われてると言うが、辺りに人はいない。
ここまで逃げて来たのだろうか…？
『ご、ごめん。詳しく説明してくれない…？それだけじゃ何が何だか…。』
「あ、すまん…。俺も必死で…。とりあえず自己紹介やな。」
少年は落ち着いたようで、お尻についた砂をパンパンと払いながら立ち上がった。
「俺の名前はロボロ。あんさんは？」
少年と一緒に座り込んでいた僕も立ち上がり、名前を言う。
『僕は九十九A。で、質問があるんだけど良い？』
僕の問いかけにロボロはもちろんやで！と笑って返す。
『さっき、「あんさん、俺の事が見えんの？！」って言ってたけど、あれどう言う事？』
「あぁ、言い忘れてた。俺な、実は妖怪やねん。」
ロボロがニコニコしながら僕に言った。
『…え？』
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作者名：神無月レオン | 作成日時：2022年6月10日 22時
