�� 不安 ページ2
『面倒臭い』
｢うっ｣
『…何でそんな顔してんの？』
｢何でもな、｣
『何でもないのに泣きそうな顔しねえだろ
こっち向け』
私の顎を掴んで上を向かせる拓弥。
思わず目をつぶったら溜め込んでた涙が溢れた。
｢っ、うぅ〜…っ｣
『馬鹿』
冷たい言葉と裏腹に柔らかく温かい拓弥の唇が触れて
思っていたことが湯水の如く口から出てくる。
｢何で拓弥は私なの？
…もっと可愛くて、綺麗で、細くて、お洒落で
拓弥に似合う人は沢山いるよ、何で私なの？
…不安なんだよ、怖くて、………ごめんなさい｣
『……』
床に座り込み泣く私の前で頬杖を付く彼。
あぁ、呆れられちゃったかな。
でもずっと思ってた、これが本音で。
彼といれる幸せと共に絶対についてくる不安。
この言葉が彼にとって重たい言葉だとしても
これを言わない以上、私は潰れてしまいそうだったんだ。
『お前、可愛いな』
思ってもない言葉。
｢……へ｣
彼の顔は真顔。無表情。
何を考えているのか、どう思ってるのか分からない。
でも
『もっと不安になれば？』
｢……｣
『その度に嫌ってくらい抱いてやるよ』
信じてみたくなるんだ。
魔法みたいなその言葉も
ほんの少しだけ口角をあげるその顔も。
『お前が自分を誰と比べてんのか知らねえけど
俺が抱きたいと思うのはお前だけだけど』
｢……｣
『抱きたいだけじゃないし』
『部屋でダラダラすんのも、馬鹿話に付き合うのも
飯食うのも、キスも全部、お前だからやるんだけど』
ふっ、小さく笑って拓弥は続ける。
『…俺のこと好き？』
｢…好き｣
『俺も。
それで終わり、来い』
迷わず彼の腕に飛び込んだ。
｢…っ、わぁぁ、ん、うぇ〜…っ、｣
『最悪、鼻水やばいお前』
そう言いながらもぎゅって抱き締めてくれる所。
ふと顔をあげれば
ほら
その瞳が、私を愛おしいって言っている。
fin
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作者名：もも | 作成日時：2017年6月26日 23時
