シンデレラボーイ#23

球場へ ページ32

●周東

　「…良いから、もう残しな。部屋帰ろう」

　「大丈夫…食べれるんだけど…」

　昨日よりは食欲も回復したが、いつものようには食べられない。

　「胃に負担になるから。無理しないで」

　「…そうする。」

　「今日はまだやめた方が良いよ」

　「いや…37度台なんて、休むほどじゃない。大丈夫」

　「佑京……」

　「明日は移動だし、今日ぐらい頑張るから。」

　「炎天下だと、きっとまた熱上がるからさぁ…」

　「大丈夫だから…行かせて」

　「うーん……気持ちは分かるけど…」

　「お願い。せっかく礼に看病してもらって、ここまで回復できたから…。薬もあるし、ほんとに大丈夫」



　礼の心配を振り切り、練習に向かった。

　試合に出たい。
　休みたくない。出番を取られたくない。
　自分のせいでチームに迷惑をかけたくない。

　そんな思いでいっぱいだった。

　「佑京〜、まじで大丈夫か？今日も暑いぞ？」

　「ギーさん、昨日はありがとうございました…。
　病院にも行ったので、もう大丈夫です…」

　「まだしんどそうだけど……。熱は？」

　「37度ちょっと…。でも昨日より2度ぐらい下がりました(苦笑)」

　「まだ熱あるのか……治ってからにした方が良いのに」

　「大丈夫です…ちゃんと仕事できるように頑張ります」

　「もー……無理すんなよ。暑い中だと、また熱上がるかもしれないし。でも、よく来たな！
　試合始まったらノリで行けるっしょ(笑)」


　体調のせいか、まだまだ精神的にも元気じゃなくて。
　その中で、少しでも柳田さんが笑って褒めてくれただけで、だいぶ救われた。



　「佑京さん〜…あれ？まだ熱い」

　後ろから抱きついてきたのは栗原。

　「ん？栗？ 昨日は心配かけてごめんなー」

　「全然。まだ熱あります？」

　「ほぼ下がったよ、微熱だけ」

　「ほんとですか？無理しちゃダメっすよー？」

　「ありがとなー」
　
　せっかく練習に来れたのに、また皆に心配かけてる。
　なんとか今日の試合が終われば、明日は移動だけ…。

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