王者の重圧 １

熱中症？ ページ26

口をゆすがせて、壁に手をつきよろよろと歩く翔太を医務室まで連れて行った。

「翔太っ‼」

着いた瞬間、崩れ落ちるようにしゃがみ込んだ。

38.6℃の熱を出していた。

症状を聞いて、『熱中症かな…』と先生。

ちゃんと意識はあるようで、大丈夫だと本人は言い張っている。

リンパ腺を冷やしたり経口補水液を飲ませたりして様子をみることに。

「試合どうなってます…？」

「今11回裏2アウト。てか大人しく寝とけ！(笑)」

「はい……」

「…まぁ意識がはっきりしていて良かったですね。症状がおさまりそうになければ病院ですが。」

「早く医務室に行くように行ったんですけど……時間と共にどんどん症状悪化したみたいで。」

「熱中症の怖いところは、本人は意識があって、少ししんどいけど休めば治る…と思っているうちに、体内では症状が進んで、時が経つと自分でどうすることもできなくなってしまうところなんです。」

「なるほど…」

「元々体調崩していたなら、尚更熱中症になりやすいです。」

「体調戻らなかったら1回ローテ飛ばしてもらえって言ったんですけど、頑なに『投げる』って…まだ身体が弱ってる時にこの暑さでしたから…」

ーーーーー

「翔太……起きれそう？」

「ん……」

「12回表に得点して、1点差で逃げ切った！そろそろみんな球場出る準備始めるけど、具合は？」

「勝ったんですね…ちょっと寝ただけでマシになった気がします…吐き気も頭痛も。」

「短時間で、この処置で緩和されるってことは、やっぱり熱中症ですね。
病院に行った方が治りは早いですけど、どうされますか？」

「んー…回復してる感じはあるので、ホテルに帰って様子を見てみます。」

「良くならなかったら、絶対早く病院に行ってくださいね。」

「わかりました…。」

「歩ける？行こっか(^_^;)」

「チョメさんすみません…ありがとうございました…」

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