愛されてるみたいです、僕 2nd

ジョブチューン2 ページ17

アナ「この時の指名について、球団関係者の方に、お話を伺っています。

『香坂については、特殊な経緯で指名に至りました。
球団のスカウトスタッフが、香坂の出身である大分県の強豪校で、ソフトバンクの今宮選手を輩出している明豊高校の監督と共通の知人の紹介で偶然出会ったところが発端です。
大分の高校を視察するなら是非見てほしい逸材がいる、と、明豊の監督に教えてもらったのが、当時は全くの無名だった香坂でした。
実績のない選手なので、一先ず香坂にも球団にも内緒で練習や練習試合の見学をさせてもらいました。
そしてその様子を見て、衝撃を受けました。
何故、こんな逸材が世に知られていないのかと。
完全に原石を見つけた、と思い、他球団やメディアに注目されても困るので、水面下で秘密裏に獲得する方向で動いていました。
香坂には彼の高校の監督伝でそれとなくプロ志望届を出してもらうようにお願いしました。
そしてドラフト当日に至り、それまで他球団にもメディアにも一切勘付かれることなく調査を進めて来れていたので、焦ることはない、と、最初は下位指名をする方向で話し合っていました。
しかし、1位指名が終わると、監督が突然香坂の2位指名を提案しました。
下位指名で確実に取れる選手をわざわざ上位指名する必要はない、と最初は反対されていました。
特に、正直、フロントや幹部はファンの反応も考えて、かなり渋っていたのですが、
監督が「無名の選手を上位指名することで、良くも悪くも注目を浴びるだろう。
だけど、香坂には逆境を跳ね返して大飛躍できる力がある。
これを機に、今いる他のホークス選手たちにも発破をかける意味で指名したいんだ」と強い意志を示されましたので、2位指名になりました』
…とのことです」




設楽「……めちゃめちゃかっこいいですね！なんかマンガの主人公みたい」



ホリケン「無名の弱小校から…っていうね！」



原田「ソフトバンクのスカウトマンだって知らなかったんですか？」



「知らなかったです。普通に地元のテレビと聞いていました。ホリケンさんの言う通り、弱小校だったので、真逆自分が見て頂いているとは夢にも思っていませんでした。最後の夏も、準決勝敗退で、普通に引退して受験勉強を、と思っていたら学校の監督から凄い練習に誘われまして…。僕は大学に行って野球をするつもりはなかったので、戸惑いました」



日村「それで？どうやってプロ志望届まで……」

ジョブチューン3→←ジョブチューン1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す