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どうしてキヨからその匂いがするのかなんて考えたくもなかったが、Aは様々な可能性を考えているうちに自然と息が上がっていたのかもしれない。
それに気付いたキヨが顔を上げ僅かに口を開けてAを見つめ、ようやく彼女が自身の匂いに疑問を抱いていると分かると納得したように笑った。
「呼吸荒らげちゃってそんなにこの匂い好きなのかよ。手の血とか、汗とか、色々流したくてちょっと嫌だったけどあいつのシャワー借りたんだよね」
そんなに匂いするかなー、この匂いAちゃんが好きなら悔しいけど買い換えようかな。なんてキヨは独り言を呟くが、Aはまともに聞いていられなかった。
人間のすることでは無い。
人を動かなくなるまで殴った後にその人の家のシャワーを使うなど、常人では考えられないはずだ。
それをこの人は平然とやってのけ、あまつさえその事より今は匂いを気にしている。
何度かこの人と目が合う度に瞳の奥に見出した狂気は見間違いなどではなかった。
蛇に睨まれるような、あの確実に仕留めると決心したようなあの目はずっと前から私だけを見据えたものだった。
あまりに惨い情報量の多さに目眩と吐き気さえしてAは項垂れた。
とんでもない目にあってしまった。とんでもない人間に目をつけられてしまった。
逃げることは愚か、この人を否定しようものなら簡単にこの首は飛ぶ。
この男は簡単にそういう事が出来る人だから。
「……そう怯えなくてもいいよ。どんなに嫌われても、憎まれても殺す気はないよ。Aちゃんの熱も肉も俺のものだもん。天にすら渡したく無いよ」
まあ、それと引き換えにAちゃんの心臓を止める権利ってのは魅力的だけどね。
そう付け足すと彼は満足そうに笑った。
そこには罪悪感などは一切なく、本当に人が幸せな時にする笑顔であった。
「話が長くなっちゃった。朝ごはん持ってくるわ。いっぱい話そうね。長い付き合いになるから」
そう言って彼がベッドから降りて寝室から出て行くのを力なく、そして何処か他人事の様に見てからまたシーツに視線を落とした。
きっと、多分、私は一生この窓の無い部屋で太陽を二度と拝めずに愛し尽くされて…死んでいく。
実感のない、でも確かな事実にまた一粒涙が零れてシーツにくすんだシミを作った。
これすら彼は愛するんだろななんて考えてしまって、反吐が出るほど憎らしかった。
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なみの。 - 壊れちゃった主人公ちゃんのふわふわした喋り方好きです・・・！とっても面白かったです。 (10月17日 23時) (
レス) @page48 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
霜はっぱ - 完結おめでとうございます!衝撃の最後!!びっくりしまった。流石です(^^)こういうのいっぱい欲しいです!でもあなたの作品はあなたが操るべきなのでご自身の思うがままに書いてくださいね!ほんとにお疲れ様でした!! (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
草の管理人 - 終わってしまったあああ!!!だがおめでとうございます!!言うのが遅れて申し訳無いです。想像の遥か上を行く最後で口が開いてしまいましたwほんとにお疲れ様でした!わがままですがこれからも病んでる作品いっぱい欲しいです…w (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - るなさん» え〜！？いつもありがとうございます！本当に書いているだけでこちらも体力を削がれるものだったので魂を削って書いた甲斐がありました。そのお言葉大切にします！私もこの作品とてもお気に入りなので愛してやって下さい！最後までありがとうございました！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 千景さん» 心に刺さるなんてそんな！もったいないお言葉ありがとうございます！重苦しすぎるヤンデレはこれからも書くと思うのでその時はまたよろしくお願いします！ありがとうございました！！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2020年6月1日 0時
