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張り裂けそうなほどの鼓動が脳にまで響いて煩わしくて仕方がない。
乱暴に玄関の戸を閉めて急いで自室のパソコンを立ち上げてヘッドフォンを装着する。
パソコンがいつもより僅かに重く、読み込み中との表記が出た途端それすらも俺の邪魔をするのかと憤りを感じて思わずデスクを殴った。
二人で歩いていた事には勿論これ以上ない程に憤怒している。あの男なんて産まれてきたことを後悔するほどの苦痛を与えてやりたい。
けど、それ以上に俺が激怒しているのは自分自身だった。
誰よりも自分はAちゃんに相応しい男になれる自信がある。これは絶対的で変わりはない。
ただその男を決めるのは彼女自信で俺ではない。例えどんなに俺が命を賭してAという一人の人間に尽くそうとも、選ぶのは彼女で俺はその場において無力だ。
だからあの男を選ぶかもしれない。
それがとてつもなく怖い。
そしてそんな事に怯えている情けない自分が死ぬほど憎い。
ようやく立ち上がったパソコンを手早く操作し、防犯アプリを開いて盗聴器に耳を澄ませる。
「それで、ストーカーの件は大丈夫になった？」
『はい！最近はめっきり無くなりました！』
二人は食事をしているのかカチャカチャとした食器の音と、控えめな店内の音楽が聞こえてきてキヨは位置情報を確認するとそれをメモしていった。
相も変わらず彼女の声は柔らかく、甘い声で先程の怒りで上がった熱が嘘のように引いて行くのが分かる。
勿論恨みや妬みは一切消えないが。
「…前々から思ってたんだけど、ほら、話してた両親とも仲のいいあの人？俺怪しいと思うなー」
「は？余計なこと言うな殺すぞ」
突然自分の事を犯人扱いされ、意図せず低い声が出る。
彼自身間違いなく犯人の張本人なのだがキヨからすれば悪意あるものでは無かったので、その発言が彼の逆鱗に触れた。
『……キヨさん、ですか？』
「そんな名前だっけ？ほら、マインドコントロールとか言うじゃん。家族と関係を持って操って…ってそんな事件もあったからさー」
この男はどうしても俺を犯人にしたいらしい。
左腕の直線状のカサブタをガリガリと爪で掻きむしり、キヨは怒りを募らせていく。
お前には到底理解できない。俺の愛など理解出来てたまるか。
俺はただ彼女を護りたい一心で…
『そんな事ないと思うんですけどね…』
そんな彼女の言葉が鶴の一声の様に、キヨの動きを止めた。
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なみの。 - 壊れちゃった主人公ちゃんのふわふわした喋り方好きです・・・！とっても面白かったです。 (10月17日 23時) (
レス) @page48 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
霜はっぱ - 完結おめでとうございます!衝撃の最後!!びっくりしまった。流石です(^^)こういうのいっぱい欲しいです!でもあなたの作品はあなたが操るべきなのでご自身の思うがままに書いてくださいね!ほんとにお疲れ様でした!! (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
草の管理人 - 終わってしまったあああ!!!だがおめでとうございます!!言うのが遅れて申し訳無いです。想像の遥か上を行く最後で口が開いてしまいましたwほんとにお疲れ様でした!わがままですがこれからも病んでる作品いっぱい欲しいです…w (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - るなさん» え〜！？いつもありがとうございます！本当に書いているだけでこちらも体力を削がれるものだったので魂を削って書いた甲斐がありました。そのお言葉大切にします！私もこの作品とてもお気に入りなので愛してやって下さい！最後までありがとうございました！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 千景さん» 心に刺さるなんてそんな！もったいないお言葉ありがとうございます！重苦しすぎるヤンデレはこれからも書くと思うのでその時はまたよろしくお願いします！ありがとうございました！！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2020年6月1日 0時
